○西山ダム操作規程
平成二十七年六月十五日
山梨県企業局管理規程第九号
西山ダム操作規程を次のように定める。
西山ダム操作規程
西山ダム操作規程(昭和五十八年山梨県企業局管理規程第一号)の全部を改正する。
目次
第一章 総則(第一条―第九条)
第二章 ダム等の管理の原則
第一節 流水の貯留及び放流の方法(第十条―第十四条)
第二節 放流の際にとるべき措置等(第十五条―第二十条)
第三章 洪水における措置に関する特則(第二十一条―第二十四条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 西山ダム操作規程(以下「規程」という。)は、西山ダム(以下「ダム」という。)の操作の方法のほか、ダム及び西山調整池(以下「調整池」という。)の管理に関し必要な事項を定めるものとする。
(管理主任技術者)
第二条 早川水系発電管理事務所に河川法(昭和三十九年法律第百六十七号。以下「法」という。)第五十条第一項に規定する管理主任技術者を一人置く。
2 前項の管理主任技術者は、部下の職員を指揮監督して、法及びこれに基づく命令並びにこの規程の定めるところにより、ダム及び調整池の管理に関する事務を誠実に行わねばならない。
(ダム及び調整池の諸元等)
第三条 ダム及び調整池の諸元その他これに準ずるダム及び調整池の管理上参考となるべき事項は、次のとおりとする。
一 ダム
イ 高さ 四〇・六〇メートル
ロ 堤頂の標高 八一八・〇〇メートル
ハ 越流頂の標高 八〇六・〇〇メートル
ニ 洪水吐ゲート
(1) ゲートの規模及び数 高さ一〇・三〇メートルで幅九・〇〇メートルのもの三門
(2) ゲートの開閉の速さ 一分につき〇・四〇メートル
ホ 流芥路ゲート
(1) ゲートの規模及び数 高さ二・三〇メートルで幅二・〇〇メートルのもの一門
(2) ゲートの開閉の速さ 一分につき〇・四〇メートル
ヘ 維持放流設備
(1) 設備の規模及び数 直径〇・三〇メートル及び〇・六〇メートルのもの一式
ト 設計洪水流量 一、七二〇・〇立方メートル毎秒
二 調整池
イ 直接集水地域の面積 一七二・〇平方キロメートル
ロ 湛水区域の面積 〇・〇五平方キロメートル
ハ 最大背水距離 〇・五〇キロメートル
ニ 設計洪水位 標高八一七・五〇メートル(水位計による表示八一七・五〇メートル)
ホ 常時満水位 標高八一六・〇〇メートル(水位計による表示八一六・〇〇メートル)
ヘ 予備放流水位 標高八〇八・三〇メートル(水位計による表示八〇八・三〇メートル)
ト 最低水位 標高八〇六・〇〇メートル
チ 有効貯水量 一、〇三四、〇〇〇立方メートル
三 最大使用水量 一五・〇立方メートル毎秒
四 維持放流量 〇・五四立方メートル毎秒
(令二企管規程七・一部改正)
(洪水及び洪水時)
第四条 この規程において「洪水」とは、調整池への流入量(以下「流入量」という。)が一七〇・〇立方メートル毎秒以上であることをいい、「洪水時」とは、洪水が発生しているときをいう。
(洪水警戒時)
第五条 この規程において「洪水警戒時」とは、ダムに係る直接集水地域の全部又は一部を含む予報区を対象として洪水警報又は大雨警報が行われ、その他洪水が発生するおそれが大きいと認められるに至った時からこれらの警報が解除され、又は切り替えられ、かつ洪水の発生するおそれが少ないと認められるまでの間で、洪水時を除く間をいう。
(洪水処理時)
第六条 この規程において「洪水処理時」とは、洪水警戒時中洪水時が終った時から洪水警戒時が解除されるまで又は解除されることなく調整池への流入量が再び増加し、洪水時に至るまでの間をいう。
(予備警戒時)
第七条 この規程において「予備警戒時」とは、第五条の予報区を対象として洪水注意報又は大雨注意報が行われ、その他洪水が発生するおそれがあると認められるに至った時から洪水警戒時に至るまで又は洪水警戒時に至ることがなくこれらの注意報が解除され、若しくは切り替えられ、その他洪水が発生するおそれがないと認められるに至るまでの間をいう。
(貯水位の算定方法)
第八条 調整池の水位(以下「貯水位」という。)は、西山調整池水位観測所の水位計の読みに基づいて、算定するものとする。
(流入量の算定方法)
第九条 流入量は、これを算定すべき時を含む一定の時間における調整池の貯水量の増分と、当該一定の時間における調整池からの延べ放流量との合算量を、当該一定の時間で除して算定するものとする。
第二章 ダム等の管理の原則
第一節 流水の貯留及び放流の方法
(流水の貯留の最高限度)
第十条 調整池における流水の貯留は、常時満水位を超えてしてはならない。
一 下流における他の河川の使用のため必要な河川の流量を確保する必要があるとき。
二 前条の規定を守るため必要があるとき。
四 ダムその他調整池内の施設又は工作物の点検、又は整備のため必要があるとき。
五 維持放流設備の機能が停止し、維持流量の放流が不可能となったとき。
六 その他やむを得ない必要があるとき。
(令二企管規程七・一部改正)
(維持放流の方法)
第十二条 維持放流量(〇・五四立方メートル毎秒)は原則、ダム右岸に位置する維持放流設備より放流するものとする。維持放流設備の機能が不能となった場合は、ダムの流芥路ゲート又は洪水吐ゲートを操作し、放流量を確保するものとする。
(令二企管規程七・追加)
(放流の開始及び放流量の増減の方法)
第十三条 調整池からの放流は、第二十三条第一号の規定によってする場合を除くほか、下流の水位の急激な変動を生じないように別図に定めるところによってしなければならない。ただし、流入量が急激に増加しているときは、当該流入量の増加率の範囲内において、調整池からの放流量を増加することができる。
(令二企管規程七・旧第十二条繰下・一部改正)
(洪水吐ゲート及び流芥路ゲートの操作方法等)
第十四条 ダムの洪水吐ゲートを構成する個々のゲート(以下この条において「ゲート」という。)は、左岸に最も近いものから、右岸に向かって順次「第一号ゲート」、「第二号ゲート」及び「第三号ゲート」という。
2 ダムから放流する場合は、原則として流芥路ゲートから放流を開始し、その後に洪水吐ゲートを操作するものとする。開かれた洪水吐ゲート及び流芥路ゲートを閉じるときは、原則として洪水吐ゲートが全閉となった後に流芥路ゲートを閉じるものとする。
4 前項の場合におけるゲートの一回の開閉の動きは、一・〇メートルを超えてはならない。ただし、流入量が急激に増加している場合において、やむを得ないと認められるときは、この限りでない。
5 ゲートを開閉した後引き続いて他のゲートを開閉するときは、当該ゲートが始動してから少なくとも三十秒を経過した後でなければ他のゲートを始動させてはならない。
6 ゲート及び流芥路ゲートは、第十一条の規定により放流する場合、又はダムの洪水吐若しくは流芥路の点検、整備のため必要がある場合を除くほか、開閉してはならない。
(令二企管規程七・旧第十三条繰下・一部改正)
第二節 放流の際にとるべき措置等
3 西山発電所(以下「発電所」という。)の放水口からの放流によって下流の水位の著しい上昇が生ずると認められる場合において、これによって生ずる危害を防止するため必要があると認められるときは、前二項の規定の例により通知しなければならない。
(令二企管規程七・旧第十四条繰下)
(放流の際の一般に周知させるための措置)
第十六条 法第四十八条の一般に周知させるため必要な措置は、ダム地点から発電所地点までの早川の区間についてとるものとする。
2 令第三十一条の規定による警告は、別表第二に掲げる警報器により、次に掲げる時期に行うものとする。
一 ダム地点に設置された警報器による警告にあっては、ダム放流の開始約十五分前に約十分間
二 ダム地点以外の地点に設置された警報器による警告にあっては、ダム放流により当該地点における早川の水位の上昇が開始されると認められる時の約十五分前に約十分間
三 警報車の拡声機による警告にあっては、前項の区間に含まれる各地点について、ダム放流により当該地点における早川の水位の上昇が開始されると認められる時の約十五分前
3 発電所の放水口からの放流によって下流の水位の著しい上昇が生ずると認められる場合において、これによって生ずる危害を防止するため必要があると認められるときは、前項の規定の例により警告しなければならない。
(令二企管規程七・旧第十五条繰下)
一 操作の理由
二 開閉した洪水吐ゲート又は流芥路ゲートの名称、その一回の開閉を始めた時刻及びこれを終えた時刻並びにこれを終えた時におけるその開度
三 洪水吐ゲート又は流芥路ゲートの一回の開閉を始めた時、及びこれを終えた時における貯水位、流入量、ダムの洪水吐又は流芥路からの放流に係る放流量及び使用水量
四 ダムの洪水吐又は流芥路からの放流に係る最大放流量が生じた時刻及びその最大放流量
五 発電の開始若しくは終了又は使用水量の変更があったときは、その時刻及びその直後における使用水量
六 法第四十八条の規定による通知(第十五条第二項の規定による通知を含む。)及び令第三十一条の規定による警告の実施状況
(令二企管規程七・旧第十六条繰下・一部改正)
(観測及び測定等)
第十八条 法第四十五条の規定による観測は、別表第三に定めるところにより行うものとする。
4 法第四十五条及び前二項の規定による観測及び測定の結果は記録しておかなければならない。
(令二企管規程七・旧第十七条繰下)
(点検及び整備等)
第十九条 ダム及び調整池並びにこれらの管理上必要な機械、器具及び資材は、定期に、及び時宜によりその点検及び整備を行うことにより、常時良好な状態に維持しなければならない。特に、洪水又は大雨、地震その他これらに類する異常な現象でその影響がダム又は調整池に及ぶものが発生したときは、その発生後速やかに、ダム及び調整池の点検(調整池付近の土地の形状の変化の観測及びダムに係る地山からにじみでる水の量と貯水位との関係の検討を含む。)を行い、ダム又は調整池に関する異常な状態が早期に発見されるようにしなければならない。
(令二企管規程七・旧第十八条繰下)
(異常かつ重大な状態に関する報告)
第二十条 ダム又は調整池に関する異常かつ重大な状態が発見されたときは、直ちに局長に対し、別表第一(二)欄の例により、その旨を報告しなければならない。
(令二企管規程七・旧第十九条繰下)
第三章 洪水における措置に関する特則
(予備警戒時における措置)
第二十一条 予備警戒時においては、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。
一 洪水時において、ダム及び調整池を適切に管理することができる要員を確保すること。
二 ダムを操作するために必要な機械及び器具(受電及び受電した電気の使用のための電気設備並びに予備電源設備を含む。)、法第四十五条の観測施設、法第四十六条第二項の通報施設、令第三十一条の規定により警告するための警報器、夜間に外で洪水時における作業を行うため必要な照明設備及び携帯用の電燈その他洪水時におけるダム及び調整池の管理のため必要な機械、器具及び資材の点検及び整備を行うこと。
三 気象官署が行う気象の観測の成果を的確かつ迅速に収集すること。
四 局長及び山梨県知事に対し、別表第一の例による、法第四十六条第一項の規定による通報をすること。
五 河川法施行規則(昭和四十年建設省令第七号)第二十七条の規定の例により、ダムの操作に関する記録を作成すること。
六 その他ダム及び調整池の管理上必要な措置
(令二企管規程七・旧第二十条繰下)
一 最大流入量その他流入量の時間的変化を予測すること。
二 次に定めるところにより、調整池から放流し、又は調整池に流水を貯留すること。ただし、調整池からの放流は、第十三条の規定に適合しないこととなるときは、できるだけこれに適合するような方法で行うこと。
イ 洪水警戒時に至った時における貯水位が、予備放流水位を越えているときは、調整池から放流を行い、貯水位が予備放流水位に等しくなった時以後においては、予備放流水位を保つよう努めること。
ロ 洪水警戒時に至った時における貯水位が、予備放流水位に等しいときは、予備放流水位を保つよう努めること。
ハ 洪水警戒時に至った時における貯水位が、予備放流水位を下回っているときは、調整池からの放流をしながら、又はこれをしないで調整池に流水を貯留し、貯水位が予備放流水位に等しくなった時以後においては、予備放流水位を保つよう努めること。
三 その他ダム及び調整池の管理上必要な措置
(令二企管規程七・旧第二十一条繰下・一部改正)
一 洪水時に至った時から、流入量に相当する流量の流水を調整池から放流し、洪水処理時に至るまでの間、これを継続すること。ただし、調整池からの放流は、下流の水位の急激な変動を生じないため必要な最小限度において、その急激な変動を生じないようにすること。
二 法第四十九条の規定による記録の作成をすること。
三 その他ダム及び調整池の管理上必要な措置
(令二企管規程七・旧第二十二条繰下・一部改正)
(洪水処理時における措置)
第二十四条 洪水処理時においては、第二十二条に規定する措置のほか、次に掲げる措置をとらなければならない。
一 洪水処理時に至った時においては、貯水位を予備放流水位に等しくなるよう努めること。
(令二企管規程七・旧第二十三条繰下・一部改正)
附則
この規程は、公布の日から施行する。
附則(令和二年企管規程第七号)
この規程は、公布の日から施行する。
別表第1(第15条第1項及び第2項、第20条、第21条第4号)
(令2企管規程7・一部改正)
通知の相手方 | ||
名称 | 担当機関の名称 | |
(1)欄 | 山梨県知事 | 峡南建設事務所 |
早川町長 | 早川町役場 | |
山梨県南部警察署長 | 南部警察署 | |
東京電力ホールディングス株式会社 | 駒橋事業所 | |
日本軽金属株式会社 | 榑坪監視所 | |
(2)欄 | 関東地方整備局長 | 甲府河川国道事務所 |
別表第2(第16条第2項)
(令2企管規程7・一部改正)
警報器の名称 | 警報器の位置 | 警報器の構造又は能力 |
第1警報器 | 山梨県南巨摩郡早川町大字湯島地先 (早川左岸) | レフレックスホーン型 定格入力 100W 周波数特性 250Hz~5500Hz |
第2警報器 | 大字湯島字味層道1181番 (早川右岸) | |
第3警報器 | 大字湯島字小梅原1719―内1番 (早川右岸) | |
第4警報器 | 大字湯島字上河原1780の6番 (早川右岸) | |
第5警報器 | 大字湯島字小梅原1719の2の1番 (早川右岸) | |
第6警報器 | 大字湯島字道ヶ島地先 (早川右岸) | |
第7警報器 | 大字湯島字池の上73乙の3の内22番 (早川左岸) | |
第8警報器 | 大字湯島宇湯殿73―乙2内24番 (早川左岸) | |
第9警報器 | 大字湯島字湯殿73乙の2の内13番 (早川左岸) | |
第10警報器 | 大字湯島字白沢104番 (早川左岸) | |
第11警報器 | 大字湯島字白沢105の3番 (早川左岸) | レフレックスホーン型 定格入力 50W 周波数特性 250Hz~4500Hz |
第12警報器 | 大字奈良田字嵐山1084番1 (西山ダム) |
別表第3(第18条第1項)
(令2企管規程7・一部改正)
観測すべき事項 | 観測施設 | 観測の回数 | ||
名称 | 位置 | 構造又は能力 | ||
貯水位及び流入量 | 西山調整池水位観測所 | 山梨県南巨摩郡早川町大字奈良田字嵐山地先(西山ダム) | 自記水位計 | 毎日1回(洪水時、洪水警戒時においては、30分毎に1回) |
降水量 | 西山雨量観測所 | 山梨県南巨摩郡早川町大字奈良田字嵐山地先(西山ダム) | 自記雨量計 | 毎日1回(洪水時、洪水警戒時においては、60分毎に1回) |
積雪の深さ | 積雪尺 | 適時 |
別表第4(第18条第2項及び第3項)
(令2企管規程7・一部改正)
観測又は測定をすべき事項 | 観測又は測定の回数 | |
気象 | ダム地点における天気、気温 | 毎日 |
水象 | 使用水量、調整池の表面付近の水温及び調整池内の結氷の状態 | 毎日 |
ダムの状況 | 変形調査処理等 | 適時 |
漏水量及び漏水温 | 少なくとも毎月2回 | |
調整池内及びその末端付近の堆砂の状況 | 少なくとも毎年度1回 |
別図(第13条)
(令2企管規程7・一部改正)