○山梨県保護施設に関する基準を定める条例
平成二十四年十二月二十七日
山梨県条例第六十四号
山梨県保護施設に関する基準を定める条例をここに公布する。
山梨県保護施設に関する基準を定める条例
目次
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 救護施設(第十一条―第二十条)
第三章 更生施設(第二十一条―第二十六条)
第四章 医療保護施設(第二十七条)
第五章 授産施設(第二十八条―第三十三条)
第六章 宿所提供施設(第三十四条―第三十九条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この条例は、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十九条第一項の規定に基づき、保護施設の設備及び運営に関する基準を定めるものとする。
(基本方針)
第二条 救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設(以下「救護施設等」という。)は、利用者に対し、健全な環境のもとで、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇を行うよう努めなければならない。
(構造設備の一般原則)
第三条 救護施設等の配置、構造及び設備は、日照、採光、換気等利用者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものでなければならない。
(設備の専用)
第四条 救護施設等の設備は、専ら当該施設の用に供するものでなければならない。ただし、利用者の処遇に支障がない場合は、この限りでない。
(職員の資格要件)
第五条 救護施設等の長(以下「施設長」という。)は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十九条第一項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に二年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
2 生活指導員は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
(職員の専従)
第六条 救護施設等の職員は、専ら当該施設の職務に従事することができる者をもって充てなければならない。ただし、利用者の処遇に支障がない場合は、この限りでない。
(苦情への対応)
第七条 救護施設等は、その行った処遇に関する利用者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 救護施設等は、その行った処遇に関し、生活保護法第十九条第四項に規定する保護の実施機関から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
3 救護施設等は、社会福祉法第八十三条に規定する運営適正化委員会が行う同法第八十五条第一項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。
(就業環境の整備)
第七条の二 救護施設等は、利用者に対し適切な処遇を行う観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。
(令三条例三五・追加)
(業務継続計画の策定等)
第七条の三 救護施設等は、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する処遇を継続的に行うための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下この条において「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。
2 救護施設等は、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。
3 救護施設等は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。
(令三条例三五・追加)
(処遇方針等)
第八条 救護施設等は、利用者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立った処遇を行うよう努めなければならない。
2 救護施設等は、利用者の処遇に当たっては、当該利用者に対し、身体的拘束その他の利用者の行動を制限する行為を行ってはならない。ただし、当該利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合は、この限りでない。
3 救護施設等は、職員に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。
(非常災害対策)
第九条 救護施設等は、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に関する具体的計画を作成し、非常災害の際の関係機関への通報及び連絡体制を整備し、それらを定期的に職員に周知しなければならない。
2 前項の非常災害に関する具体的計画の作成に当たっては、救護施設等の立地状況等を勘案し、発生することが予想される非常災害の種類に応じたものとしなければならない。
3 救護施設等は、非常災害に備えるため、定期的に避難、救出その他必要な措置に関する訓練を行わなければならない。
4 前項の訓練は、地域住民及び消防団その他の関係機関と連携して行うよう努めなければならない。
5 救護施設等は、非常災害の際に、利用者、職員等が必要とする飲料水、食糧、日用品その他の物資及び防災に関する資機材の備蓄、整備及び点検を行うよう努めなければならない。
(帳簿の整備)
第十条 救護施設等は、設備、職員、会計及び利用者の処遇の状況に関する帳簿を整備しなければならない。
第二章 救護施設
(規模)
第十一条 救護施設は、三十人以上の人員を入所させることができる規模を有しなければならない。
2 救護施設は、当該施設と一体的に管理運営を行う日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて生活扶助を行うことを目的とする施設であってその入所定員が二十人以下のもの(第十三条において「サテライト型施設」という。)を設置する場合は、五人以上の人員を入所させることができる規模を有するものとしなければならない。
3 救護施設は、被保護者の数が当該施設における入所者の総数のうちに占める割合がおおむね八十パーセント以上としなければならない。
一 スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性の材料の使用、調理室等火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、初期消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。
二 非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。
三 避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。
3 救護施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。
一 居室
二 静養室
三 食堂
四 集会室
五 浴室
六 洗面所
七 便所
八 医務室
九 調理室
十 事務室
十一 宿直室
十二 介護職員室
十三 面接室
十四 洗濯室又は洗濯場
十五 汚物処理室
十六 霊安室
一 居室 次のとおりとする。
イ 地階に設けてはならないこと。
ロ 入所者一人当たりの床面積は、収納設備等を除き、三・三平方メートル以上とすること。
ハ 一以上の出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。
ニ 入所者の寝具及び身の回り品を各人別に収納することができる収納設備を設けること。
ホ 特別居室は、原則として一階に設け、寝台又はこれに代わる設備を備えること。
二 静養室 次のとおりとする。
イ 医務室又は介護職員室に近接して設けること。
三 洗面所 居室のある階ごとに設けること。
四 便所 居室のある階ごとに男子用と女子用を別に設けること。
五 医務室 入所者を診療するために必要な医薬品、衛生材料及び医療機器を備えるほか、必要に応じて臨床検査設備を設けること。
六 調理室 火気を使用する部分は、不燃材料を用いること。
七 介護職員室 居室のある階ごとに居室に近接して設けること。
6 前各項に規定するもののほか、救護施設の設備の基準は、次に定めるところによる。
一 廊下の幅は、一・三五メートル以上とすること。ただし、中廊下の幅は、一・八メートル以上とする。
二 廊下、便所その他必要な場所に常夜灯を設けること。
三 階段の傾斜は、緩やかにすること。
(サテライト型施設の設備の基準)
第十三条 サテライト型施設の設備の基準は、前条に規定する基準に準ずる。
(職員の配置の基準)
第十四条 救護施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する救護施設にあっては、第七号に掲げる職員を置かないことができる。
一 施設長
二 医師
三 生活指導員
四 介護職員
五 看護師又は准看護師
六 栄養士
七 調理員
2 生活指導員、介護職員及び看護師又は准看護師の総数は、通じておおむね入所者の数を五・四で除して得た数以上とする。
(居室の入所人員)
第十五条 一の居室に入所させる人員は、原則として四人以下とする。
(給食)
第十六条 給食は、あらかじめ作成された献立に従って行うこととし、その献立は、栄養並びに入所者の身体的状況及び嗜好を考慮したものでなければならない。
(健康管理)
第十七条 救護施設等は、入所者に対し、その入所時及び毎年二回以上定期に健康診断を行わなければならない。
(衛生管理等)
第十八条 救護施設は、入所者の使用する設備、食器等又は飲用に供する水については、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、医薬品、衛生材料及び医療機器を適正に管理しなければならない。
2 救護施設は、当該救護施設において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該救護施設における感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図ること。この場合において、当該委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。
二 当該救護施設における感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。
三 当該救護施設において、職員に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修並びに感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施すること。
(令三条例三五・一部改正)
(生活指導等)
第十九条 救護施設は、入所者に対し、生活の向上及び更生のための指導を受ける機会を与えなければならない。
2 救護施設は、入所者に対し、その精神的及び身体的条件に応じ、機能を回復し、又は機能の減退を防止するための訓練又は作業に参加する機会を与えなければならない。
3 入所者の日常生活に充てられる場所は、必要に応じ、採暖のための措置を講じなければならない。
4 一週間に二回以上、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。
5 趣味、教養又は娯楽に係る活動のための設備を備えるほか、適宜レクリエーション行事を行わなければならない。
(給付金として支払を受けた金銭の管理)
第二十条 救護施設は、当該救護施設の設置者が入所者に係る厚生労働大臣が定める給付金(以下この条において「給付金」という。)の支給を受けたときは、給付金として支払を受けた金銭を次に掲げるところにより管理しなければならない。
一 当該入所者に係る当該金銭及びこれに準ずるもの(これらの運用により生じた収益を含む。以下この条において「入所者に係る金銭」という。)をその他の財産と区分すること。
二 入所者に係る金銭を給付金の支給の趣旨に従って用いること。
三 入所者に係る金銭の収支の状況を明らかにする帳簿を整備すること。
四 当該入所者が退所した場合には、速やかに、入所者に係る金銭を当該入所者に取得させること。
第三章 更生施設
(規模)
第二十一条 更生施設は、三十人以上の人員を入所させることができる規模を有しなければならない。
2 更正施設は、被保護者の数が当該施設における入所者の総数のうちに占める割合がおおむね八十パーセント以上としなければならない。
(設備の基準)
第二十二条 更生施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。
一 居室
二 静養室
三 集会室
四 食堂
五 浴室
六 洗面所
七 便所
八 医務室
九 作業室又は作業場
十 調理室
十一 事務室
十二 宿直室
十三 面接室
十四 洗濯室又は洗濯場
2 前項第九号に掲げる作業室又は作業場には、作業に従事する者の安全を確保するための設備を設けなければならない。
一 施設長
二 医師
三 生活指導員
四 作業指導員
五 看護師又は准看護師
六 栄養士
七 調理員
2 生活指導員、作業指導員及び看護師又は准看護師の総数は、入所人員が百五十人以下の施設にあっては六人以上、入所人員が百五十人を超える施設にあっては六人に百五十人を超える部分四十人につき一人を加えた数以上とする。
(生活指導等)
第二十四条 更生施設は、入所者の勤労意欲を助長するとともに、入所者が退所後健全な社会生活を営むことができるよう入所者各人の精神及び身体の条件に適合する更生計画を作成し、これに基づく指導をしなければならない。
(作業指導)
第二十五条 更生施設は、入所者に対し、前条第一項の更生計画に従って、入所者が退所後自立するのに必要な程度の技能を修得させなければならない。
2 作業指導の種目を決定するに当たっては、地域の実情及び入所者の職歴を考慮しなければならない。
第四章 医療保護施設
第二十七条 医療保護施設は、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)その他医療に関する法令に基づき適切に運営されなければならない。
第五章 授産施設
(規模)
第二十八条 授産施設は、二十人以上の人員を利用させることができる規模を有しなければならない。
2 授産施設は、被保護者の数が当該施設における入所者の総数のうちに占める割合がおおむね五十パーセント以上としなければならない。
(設備の基準)
第二十九条 授産施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、利用者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。
一 作業室
二 作業設備
三 食堂
四 洗面所
五 便所
六 事務室
一 作業室 次のとおりとする。
イ 必要に応じて危害防止設備を設け、又は保護具を備えること。
ロ 一以上の出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。
二 便所 男子用と女子用を別に設けること。
(職員の配置の基準)
第三十条 授産施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。
一 施設長
二 作業指導員
(工賃の支払)
第三十一条 授産施設の利用者には、事業収入の額から、事業に必要な経費の額を控除した額に相当する額の工賃を支払わなければならない。
(自立指導)
第三十二条 授産施設は、利用者に対し、作業を通じて自立のために必要な指導を行わなければならない。
(準用)
第三十三条 授産施設の衛生管理の基準については、第十八条の規定(医薬品、衛生材料及び医療機器の管理に係る部分を除く。)を準用する。
第六章 宿所提供施設
(規模)
第三十四条 宿所提供施設は、三十人以上の人員を利用させることができる規模を有しなければならない。
2 宿所提供施設は、被保護者の数が当該施設における入所者の総数のうちに占める割合がおおむね五十パーセント以上としなければならない。
(設備の基準)
第三十五条 宿所提供施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。
一 居室
二 炊事設備
三 便所
四 面接室
五 事務室
2 前項第二号に掲げる炊事設備の火器を使用する部分は、不燃材料を用いなければならない。
3 宿所提供施設の設備の基準については、第十二条第五項第一号(ホを除く。)並びに第六項第一号及び第二号の規定を準用する。
(職員の配置の基準)
第三十六条 宿所提供施設には、施設長を置かなければならない。
(居室の利用世帯)
第三十七条 一の居室は、やむを得ない理由がある場合を除き、二以上の世帯に利用させてはならない。
(生活相談)
第三十八条 宿所提供施設は、生活の相談に応ずる等利用者の生活の向上を図ることに努めなければならない。
(準用)
第三十九条 宿所提供施設の衛生管理については、第十八条の規定(医薬品、衛生材料及び医療機器の管理に係る部分を除く。)を準用する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成二十五年四月一日から施行する。
3 児童福祉施設最低基準等の一部を改正する省令(昭和六十二年厚生省令第十二号。次項において「昭和六十二年改正省令」という。)の施行の際現に存した救護施設については、第十二条第二項第十五号の規定は、当分の間、適用しない。
4 昭和六十二年改正省令の施行の際現に存した救護施設については、第十五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
附則(令和三年条例第三五号)
(施行期日)
1 この条例は、令和三年八月一日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(次項において「施行日」という。)から令和六年三月三十一日までの間、この条例による改正後の山梨県保護施設に関する基準を定める条例(次項において「新条例」という。)第七条の三の規定の適用については、「講じなければ」とあるのは「講ずるよう努めなければ」と、「実施しなければ」とあるのは「実施するよう努めなければ」と、「行うものとする」とあるのは「行うよう努めるものとする」とする。
3 施行日から令和六年三月三十一日までの間、新条例第十八条第二項(新条例第二十六条、第三十三条及び第三十九条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、「講じなければ」とあるのは「講ずるよう努めなければ」とする。