○山梨県土採取規制条例

昭和四十九年十月十七日

山梨県条例第三十二号

山梨県土採取規制条例をここに公布する。

山梨県土採取規制条例

(目的)

第一条 この条例は、土の採取について必要な規制を行うことにより、土砂の崩壊等による災害の防止を図り、もつて県民の生命、身体及び財産の安全を図ることを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 土の採取 埋土又は盛土の用に供される土を採取することを主な目的として土地を掘削し、当該土の搬出を伴う行為であつて、当該土の採取を行う場所の面積が三百平方メートル以上又は土の採取量が千立方メートル以上のものをいう。

 土採取者 土の採取を行う者をいい、請負契約によつて土の採取を行う場合においては、当該契約における元請負人をいう。

 土砂の崩壊等 土の採取に伴う土砂等の崩壊及び流出並びに粉じんの発生をいう。

(採取計画の認可)

第三条 土採取者は、土の採取を行おうとするときは、土の採取を行う場所(以下「土採取場」という。)ごとに、規則で定める期間ごとの採取計画を定め、知事の認可を受けなければならない。ただし、災害その他非常の事態の発生により応急措置を講ずるため、土の採取を緊急に行う必要がある場合は、この限りでない。

2 前項ただし書の規定により土の採取を行つた土採取者は、規則で定めるところによりその旨を知事に届け出なければならない。

(採取計画に定める事項)

第四条 前条第一項に規定する採取計画には、次の事項を定めなければならない。

 土採取場の区域

 採取する土の数量及びその採取の期間

 土の採取の方法及び土の採取のための設備その他の施設に関する事項

 土砂の崩壊等の防止のための方法及び施設に関する事項

 土の積込み及び搬出の方法

 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

(認可の申請等)

第五条 第三条第一項の規定による認可を受けようとする者は、次の各号に掲げる事項を記載した申請書に規則で定める図書を添えて、知事に提出しなければならない。

 土採取者(下請負人がある場合は、当該下請負人を含む。)の氏名(法人にあつては当該法人の名称及び代表者の氏名)及び住所

 採取計画

2 知事は、前項の申請書が提出されたときは、当該申請に係る土採取場の所在地を管轄する市町村の長に当該申請書の写しを送付し、当該申請書に対する意見を聴くものとする。

(平一一条例六四・一部改正)

(認可の基準)

第六条 知事は、第三条第一項の規定による認可の申請があつた場合において、当該申請に係る採取計画に基づいて行う土の採取が次の各号に該当しないと認められるときは、同項の認可をしてはならない。

 土の採取が別表に定める土の採取の方法等に関する基準により行われること。

 土の採取が公共の用に供する施設を損傷しないこと。

(変更の認可)

第七条 第三条第一項の規定による認可を受けた者は、当該認可に係る採取計画を変更しようとするときは、知事の認可を受けなければならない。

2 第五条第二項及び前条の規定は、前項の認可について準用する。

(平一一条例六四・一部改正)

(遵守義務)

第八条 第三条第一項又は前条第一項の規定による認可を受けた者(以下「土の採取の認可を受けた者」という。)及びその下請負人は、当該認可に係る採取計画に従つて土の採取を行わなければならない。

(措置命令)

第九条 知事は、土の採取の認可を受けた者に対し、土砂の崩壊等の防止のため緊急の必要があると認めるとき又は土の採取の認可を受けた者が前条の規定に違反したときは、期限を定めて採取跡地の埋めもどし、土の採取の方法の変更その他土の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2 知事は、土の採取の認可を受けた者が前項の規定による命令に従わないときは、当該命令に係る措置がとられるまでの間、土の採取の認可を受けた者に対し、土の採取の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。

3 知事は、第三条第一項の規定による認可を受けないで土の採取を行い、又は行つた者に対し、当該土の採取に伴う土砂の崩壊等を防止するために必要な措置をとるべきこと又は期間を定めて当該土の採取の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。

4 知事は、土砂の崩壊等の防止のため必要があると認めるときは、第三条第一項ただし書の規定により土の採取を行つた土採取者に対し、災害の防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(認可の取消し)

第十条 知事は、土の採取の認可を受けた者が次の各号の一に該当するときは、その認可を取り消すことができる。

 前条第二項の規定による命令に違反したとき。

 不正の手段により第三条第一項又は第七条第一項の規定による認可を受けたとき。

(完了等の届出)

第十一条 土の採取の認可を受けた者は、第三条第一項又は第七条第一項の規定による認可に係る土の採取を完了し、若しくは廃止したときはこれらの日から七日以内に、又は土の採取を引き続き三箇月以上休止しようとするときは遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

(採取跡地の緑化等の勧告)

第十二条 知事は、第六条別表に定める採取跡地の措置を除くほか、県民の生活環境を保全するため必要があると認めるときは、土の採取の認可を受けた者に対し、当該土採取跡地について緑化等必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

(承継)

第十三条 第三条第一項の規定による認可を受けた者について相続、合併又は分割(当該認可に係る土の採取の全部を承継させるものに限る。)があつたときは、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割により当該土の採取の全部を承継した法人は、当該認可を受けた者の地位を承継する。

2 前項の規定により地位を承継した者は、その日から七日以内にその旨を知事に届け出なければならない。

(平一三条例三・一部改正)

(標識の掲示)

第十四条 土の採取の認可を受けた者は、当該土採取場の見やすい場所に、規則で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。

(立入検査)

第十五条 知事は、土砂の崩壊等の防止のため必要な限度において、当該職員に土採取者の事務所、土採取場その他その業務を行う場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により当該職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

(報告)

第十六条 知事は、土砂の崩壊等の防止のため必要な限度において、土採取者に対し、当該土の採取に関し報告を求めることができる。

(協力の要請)

第十七条 知事は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、市町村長又は関係行政機関の長に対して、協力を求めることができる。

(委任)

第十八条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第十九条 次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 第三条第一項の規定による知事の認可を受けないで土の採取を行つた者

 第八条の規定に違反して土の採取を行つた者

 第九条の規定による命令に違反した者

(平四条例二八・一部改正)

第二十条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

 第十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 第十四条の規定に違反した者

 第十五条第一項の規定による検査を正当な理由がなく拒み、妨げ、又は忌避した者

(平四条例二八・一部改正)

(両罰規定)

第二十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。

(昭和四九年規則第五四号で昭和五〇年四月一日から施行)

(経過措置)

2 この条例の施行の際、現に土の採取を行つている土採取者は、この条例施行の日をもつて第三条第一項の規定による認可を受けたものとみなす。

3 前項の規定により認可を受けたものとみなされた者は、この条例施行の日から三十日以内に、規則で定めるところにより知事に届け出なければならない。

(平成四年条例第二八号)

(施行期日)

1 この条例は、平成四年五月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(平成一一年条例第六四号)

(施行期日)

1 この条例は、平成十二年四月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の山梨県土採取規制条例第五条第二項(第七条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、この条例の施行の日以後に行われる申請について適用し、同日前に行われる申請については、なお従前の例による。

別表(第六条関係)

区分

基準の内容

採取の方法

一 土の採取の方法は、原則として階段採掘法又は平面採掘法によるものとする。

二 掘削面のこう配は、掘削の箇所の最も高い地点と最も低い地点との垂直距離が五メートル未満であるときは六〇度以内、その垂直距離が五メートル以上であるときは四五度以内とし、垂直方向五メートルごとに、掘削面に土砂の崩壊等を防止するため必要な面積を有する平場を設けること。

三 掘削の深さは、掘削する場所の周辺の土地のうち最も近い部分から五メートルまでの深さとし、土の採取後は、原則として掘削前の地盤まで埋めもどしを行うものとする。

隣地からの距離

土採取場の区域に隣接する土地の境界との保全距離は、土採取場の区域の境界において、直高五メートル以上の切土を行うこととなる場合は五メートルを、直高五メートル未満の切土を行うこととなる場合は直高と同じ保安距離を置くこと。

土砂流出の防止

土採取場から流出する土砂を防止するため、編さく工、板さく工、土俵積工等を施工するとともに、流末処理を行うための沈泥池等必要な施設を設置すること。

粉じんの防止

土採取場から生ずる粉じんが周辺の生活環境を阻害しないように、散水、防じん剤の散布等適切な措置を講ずること。

採取跡地の措置

一 土の採取後のゆう水及び保水力低下に伴う流出水の増加を考慮して、排水に係る適切な施設を設置すること。

二 土の採取後の掘削面には、適当な草木を植栽し、土留工事を施す等土砂の崩壊等を防止するため必要な措置を講ずること。

(平成一三年条例第三号)

この条例は、平成十三年四月一日から施行する。

山梨県土採取規制条例

昭和49年10月17日 条例第32号

(平成13年4月1日施行)