○山梨県富士五湖の静穏の保全に関する条例

昭和六十三年十二月二十二日

山梨県条例第二十八号

山梨県富士五湖の静穏の保全に関する条例をここに公布する。

山梨県富士五湖の静穏の保全に関する条例

(目的)

第一条 この条例は、富士五湖地域の自然的、社会的特性にかんがみ、富士五湖の静穏の保全に関し必要な事項を定めることにより、富士五湖地域の良好な環境の保持増進を図り、もつてこの地域の均衡ある発展と県民の福祉の向上に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 富士五湖 山中湖、河口湖、西湖、精進湖及び本栖湖をいう。

 特定水域 富士五湖の水域のうち自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第二十条第三項第十七号の環境大臣が指定する区域内の水域を除いた水域をいう。

 県民等 県民、旅行者及び滞在者をいう。

 船舶 機関を用いて推進する船(船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第二条第二項に規定する船舶で機関を用いて推進するもの及び主として水上の交通の取締りの用に供する船を除く。)をいう。

 航行 機関を用いて船舶が進行することをいう。

 操縦者 直接船舶を操縦する者及び船長をいう。

(平一五条例三八・平一六条例三三・平一七条例八四・平二六条例三〇・一部改正)

(県民等の責務)

第三条 県民等は、富士五湖の静穏の保全に努めるとともに、県及び富士五湖の存する町村が実施する施策(富士五湖の静穏の保全に関する施策をいう。次条において同じ。)に協力するものとする。

(平二六条例三〇・一部改正)

(県の責務)

第四条 県は、基本的かつ総合的な施策を実施するものとする。

第五条 削除

(平二六条例三〇)

(航行の制限)

第六条 特定水域において、船舶は、次に掲げる場合を除き、航行制限時間(富士五湖の静穏を特に守るべき時間として規則で定める時間をいう。次条及び第十五条において同じ。)に航行してはならない。

 国又は地方公共団体が公の用に供する目的で航行する場合

 災害その他の非常の事態の発生に際し、必要な措置を講ずるために航行する場合

 祭礼等慣習的な行事に伴い航行する場合

 漁業協同組合の組合員が漁業又は漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百二十九条第一項に規定する遊漁をする者を漁場に案内する事業のために航行する場合

 前各号に掲げるもののほか、知事が公益上必要があると認めて許可した場合

2 前項第四号又は第五号の規定により航行する船舶は、みだりに富士五湖の静穏を阻害するような方法で航行してはならない。

(平二六条例三〇・一部改正)

(規制基準の遵守)

第七条 特定水域において航行する船舶は、規制基準(航行制限時間外の時間に航行する船舶が発生する騒音の湖畔における大きさの許容制度として規則で定めるものをいう。第十四条第一項において同じ。)を遵守しなければならない。

(平二六条例三〇・一部改正)

(船舶の届出)

第八条 船舶の所有者は、特定水域において船舶を航行の用に供しようとするときは、当該航行の用に供する日の二週間前の日までに、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。ただし、当該船舶について既にこの項の規定による届出がされているとき(当該船舶について第十二条第一項の規定による廃止の届出がされているとき(同条第二項の規定により廃止の届出があつたものとみなされるときを含む。)を除く。)は、この限りでない。

 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 船舶の種類及び型式

 推進機関の出力

 騒音の防止の方法

 その他規則で定める事項

2 前項の規定による届出には、船舶安全法第九条第一項に規定する船舶検査証書の写しを添付しなければならない。ただし、やむを得ない事由により当該届出に当該船舶検査証書の写しを添付することができないときは、その事由が消滅した後遅滞なくこれを提出すれば足りる。

(平二六条例三〇・一部改正)

(船舶届出済証の交付等)

第九条 知事は、前条第一項の規定による届出を受理したときは、届出済証を交付する。

2 前項の届出済証の交付を受けた者は、これを見やすいように前条第一項の規定による届出に係る船舶に表示しなければならない。

3 第一項の届出済証の交付を受けた者は、これを汚損し、又は滅失したときは、規則で定めるところにより、再交付を受けなければならない。

(平二六条例三〇・一部改正)

(推進機関の出力等の変更の届出)

第十条 第八条第一項の規定による届出をした船舶の所有者(以下「船舶所有者」という。)は、当該届出に係る同項第三号又は第四号に掲げる事項の変更をしたときは、その後特定水域において当該船舶を航行の用に供しようとする時までに、その旨を知事に届け出なければならない。ただし、当該変更が明らかに当該船舶の発生する騒音の大きさの増加を伴わない場合は、この限りでない。

(平二六条例三〇・一部改正)

(助言又は指導)

第十一条 知事は、第八条第一項又は前条の規定による届出があつた場合において、富士五湖の静穏を保全するために必要があると認めるときは、当該届出をした船舶所有者に対し、騒音の防止の方法について、必要の助言又は指導を行うことができる。

(氏名の変更等の届出)

第十二条 船舶所有者は、第八条第一項の規定による届出に係る同項第一号若しくは第五号に掲げる事項に変更があつたとき又は当該届出に係る船舶の特定水域における使用を廃止したときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

2 船舶所有者が、第八条第一項の規定による届出に係る船舶について、当該届出をした日(当該船舶所有者が当該船舶について第十三条の二第一項の規定による届出(以下この項において「航行の届出」という。)をした場合にあつては、最後に航行の届出をした日)の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。第十三条の二第一項において同じ。)の末日までの間に航行の届出をしなかつたときは、当該末日の翌日に、当該船舶について前項の規定による廃止の届出があつたものとみなす。

(平二六条例三〇・一部改正)

(承継)

第十三条 船舶所有者から第八条第一項の規定による届出に係る船舶を譲り受けた者は、当該船舶に係る船舶所有者の地位を継承する。

2 船舶所有者について相続、合併又は分割(第八条第一項の規定による届出に係る船舶を承継させるものに限る。)があつたときは、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割により当該船舶を承継した法人は、当該船舶所有者の地位を承継する。

3 前二項の規定により船舶所有者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

(平一三条例三・一部改正)

(航行の届出)

第十三条の二 船舶所有者は、特定水域において第八条第一項の規定による届出に係る船舶を航行の用に供しようとするときは、当該航行の用に供する日の属する年度(次項において「航行年度」という。)ごとに、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 当該船舶を航行の用に供しようとする湖の名称

 当該船舶を航行の用に供しようとする月及び日数

 その他規則で定める事項

2 前項の規定による届出は、航行年度の前年度の二月一日から当該航行年度の開始後最初に特定水域において第八条第一項の規定による届出に係る船舶を航行の用に供しようとする日の二週間前の日までの間にしなければならない。

3 第八条第二項の規定は、第一項の規定による届出をする場合に準用する。

(平二六条例三〇・追加)

(航行届出済証の交付等)

第十三条の三 知事は、前条第一項の規定による届出を受理したときは、届出済証を交付する。

2 前項の届出済証の交付を受けた者は、これを見やすいように前条第一項の規定による届出に係る船舶に表示しなければならない。

3 第一項の届出済証の交付を受けた者は、これを汚損し、又は滅失したときは、規則で定めるところにより、再交付を受けなければならない。

(平二六条例三〇・追加)

(適用除外)

第十三条の四 第十二条第二項第十三条の二及び前条の規定は、次の各号に掲げる船舶(第十三条の六第四項第一号及び第十三条の七第一項第一号において「特定船舶」という。)のいずれかに該当することについて知事の確認を受けたものについては、適用しない。

 海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第四十四条において準用する同法第二条第二項に規定する船舶運航事業の用に供される船舶

 漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)第十条第一項の登録を受けた船舶

 船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和二十六年法律第百四十九号)に規定する小型船舶教習所における教習の用に供される船舶

 山梨県モーターボート業適正化条例(昭和五十二年山梨県条例第二十九号)第二条第二号に規定するモーターボート業その他規則で定める事業の用に供される船舶であつて、これらの事業を行う者が所有権又は賃借権を有するもの

 国、地方公共団体その他規則で定める者が所有権又は賃借権を有する船舶

(平二六条例三〇・追加)

(特定船舶の確認の申請等)

第十三条の五 前条の確認(以下単に「確認」という。)の申請は、次の事項を記載した申請書を知事に提出して、これをしなければならない。

 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 確認を受けようとする船舶の前条各号の区分

 前号の船舶を航行の用に供しようとする湖の名称

 その他規則で定める事項

2 第八条第二項の規定は、前項の規定により申請する場合に準用する。

(平二六条例三〇・追加)

(確認済証の交付等)

第十三条の六 知事は、確認をしたときは、確認済証を交付する。

2 前項の確認済証の交付を受けた者は、これを見やすいように確認に係る船舶に表示しなければならない。

3 第一項の確認済証の交付を受けた者は、これを汚損し、又は滅失したときは、規則で定めるところにより、再交付を受けなければならない。

4 第一項の確認済証の交付を受けた者は、次に掲げる場合には、これを確認に係る船舶に表示してはならない。

 当該船舶が特定船舶に該当しなくなつたとき。

 第十三条の八の規定により確認が取り消されたとき。

(平二六条例三〇・追加)

(特定船舶に係る届出等)

第十三条の七 次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

 確認に係る船舶が特定船舶に該当しなくなつたとき。 当該確認を受けた者

 確認に係る船舶の特定水域における使用が廃止されたとき。 当該確認を受けた者

 確認を受けた者以外の者が当該確認に係る船舶を譲り受けたとき。 当該船舶を譲り受けた者

 確認を受けた者について相続、合併又は分割(当該確認に係る船舶を承継させるものに限る。)があつたとき。 相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割により当該船舶を承継した法人

2 前項の場合においては、同項(第二号を除く。)の規定による届出を第十三条の二第一項の規定による届出とみなして、第十二条第二項の規定を適用する。

(平二六条例三〇・追加)

(特定船舶の確認の取消し)

第十三条の八 知事は、次に掲げる場合には、確認を取り消すものとする。

 確認を受けた者が不正の手段により当該確認を受けたとき。

 前条第一項の規定による届出があつたとき。

 前条第一項の規定による届出がなくて同項各号のいずれかに該当する事実が判明したとき。

(平二六条例三〇・追加)

(改善勧告等)

第十四条 知事は、特定水域において船舶の航行に伴つて発生する騒音が規制基準に適合しないときは、当該船舶に係る船舶所有者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な限度において、騒音の防止の方法を改善すべきことを勧告することができる。

2 知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないで当該船舶を特定水域において航行の用に供しているときは、同項の事態を除去するために必要な限度において、騒音の防止の方法の改善を命ずることができる。

3 知事は、その職員をして、前項の規定による命令に従わない船舶所有者の当該船舶を特定水域において航行させている操縦者に対して、航行の中止を指示させることができる。

4 前項に規定する職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

(平二六条例三〇・一部改正)

(行為の禁止)

第十五条 何人も、富士五湖において、航行制限時間に騒音を発生する推進機関付きの遊具その他の著しい騒音を発生する機器をみだりに使用してはならない。

(立入検査)

第十六条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、船舶及び船舶が所在すると認める場所に立ち入り、関係者に質問させ、又は船舶その他物件を検査させることができる。

2 第十四条第四項の規定は、前項の規定により立入検査をする職員について準用する。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(富士五湖環境監視員)

第十七条 知事は、この条例に違反する行為を監視させ、並びに富士五湖の静穏の保全についての指導及び啓発を行わせるため、富士五湖環境監視員を置くことができる。

2 前項の監視員は、規則で定めるところにより、知事が任命し、又は委嘱する。

(委任)

第十八条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第十九条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 第六条第一項の規定に違反して、船舶を航行させた操縦者

 第十四条第三項の規定による指示に従わないで、船舶を航行させた操縦者

(平四条例二三・一部改正)

第二十条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

 第八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして船舶を航行の用に供した当該船舶の所有者

 第十六条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

(平四条例二三・一部改正)

第二十一条 第十条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして船舶を航行の用に供した船舶所有者は、十万円以下の罰金に処する。

(平四条例二三・一部改正)

第二十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

(過料)

第二十三条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の過料に処する。

 第九条第二項第十三条の三第二項又は第十三条の六第二項の規定に違反して表示をしないで船舶を航行の用に供した船舶所有者

 第十三条の二第一項の規定による届出をしないで船舶を航行の用に供した船舶所有者

 不正の手段により確認を受けた船舶所有者

 第十三条の六第四項の規定に違反して表示をして船舶を航行の用に供した船舶所有者

(平二六条例三〇・追加)

(施行期日)

1 この条例は、昭和六十四年四月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に富士五湖において船舶を航行の用に供している当該船舶の所有者は、この条例の施行の日から一月を経過する日までの間は、第八条第一項の規定による届出をしないで、当該船舶を航行の用に供することができる。

(平成四年条例第二三号)

(施行期日)

1 この条例は、平成四年五月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(平成一三年条例第三号)

この条例は、平成十三年四月一日から施行する。

(平成一五年条例第三八号)

この条例は、平成十五年十一月十五日から施行する。

(平成一六年条例第三三号)

この条例は、平成十六年九月十三日から施行する。

(平成一七年条例第八四号)

この条例は、平成十八年三月一日から施行する。

(平成二六年条例第三〇号)

(施行期日)

1 この条例は、平成二十六年八月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の山梨県富士五湖の静穏の保全に関する条例(以下この項から附則第四項までにおいて「新条例」という。)第八条第一項の規定は、平成二十六年八月十五日以後に特定水域(新条例第二条第二号に規定する特定水域をいう。以下この項及び附則第四項において同じ。)において船舶を航行(新条例第二条第五号に規定する航行をいう。以下この項及び附則第四項において同じ。)の用に供しようとする場合について適用し、同日前に特定水域において船舶を航行の用に供しようとする場合については、なお従前の例による。

3 この条例の施行の日前にこの条例による改正前の山梨県富士五湖の静穏の保全に関する条例第八条第一項の規定による届出があった船舶については、同日に新条例第八条第一項の規定による届出があったものとみなして、新条例第十二条第二項の規定を適用する。

4 新条例第十三条の二から第十三条の八まで並びに第二十三条第一号、第二号及び第四号の規定は、平成二十七年四月一日以後に特定水域において新条例第八条第一項の規定による届出に係る船舶を航行の用に供しようとする場合について適用する。

山梨県富士五湖の静穏の保全に関する条例

昭和63年12月22日 条例第28号

(平成26年8月1日施行)

体系情報
第6編の2 境/第2章 生活環境
沿革情報
昭和63年12月22日 条例第28号
平成4年3月24日 条例第23号
平成13年3月29日 条例第3号
平成15年7月17日 条例第38号
平成16年6月24日 条例第33号
平成17年7月12日 条例第84号
平成26年3月28日 条例第30号