立地企業の声

バラの成長とともに薄膜技術で事業拡大を! TDK社屋とバラ
TDK株式会社 甲府工場

当地に立地されてから28年、中部横断自動車を増穂インターから入り北上すると、八ヶ岳連峰の山並ともに、屋上に整然と設置された太陽光発電パネルが一段と目を引く「TDK株式会社 甲府工場」が見えます。今回は同工場をお尋ねし、ヘッドビジネスグループ 甲府サイト CSR担当の森野健治主幹にお話を伺いました。

 

>>>当地に立地されたきっかけは?

 

TDK写真(森野主幹)1975年に当時、千葉県の市川市に有りますTDK本八幡事業所の研究施設で開発された磁気ヘッドの量産化を目的に、甲府市愛宕山の麓で磁気テープなどを生産していた甲府工場に移転してきました。当時の山梨は水晶発振子などの研磨が盛んに行なわれており磁気ヘッドの鏡面研磨に必要な関連事業者が多く存在していたことでたいへん順調な立ち上げを行なう事ができました。その後、1980年ころより手狭になってきたため広い工場が必要となり、お客様の多くいた関西地区の検討もしたものの、結局は地元で培った技術を継承するということと当時の知事さんの強い薦めもあって1982年に旧甲西町の甲西工業団地に新たな工場を建設しました。その後、主力製品の磁気ヘッドはバルクタイプから薄膜タイプに変わりその性能を著しく向上させパソコンの高容量化や小型化におおいに貢献してまいりました。同時に薄膜技術は新しい製品に応用されるようになり、現在の甲府工場の主力製品である薄膜応用製品へと受け継がれております。これら薄膜製品は半導体製造と同じように真空容器の中で金属をイオン化したりガスを噴きつけして数オングストロームの薄い膜を作り、イオンビームやエッチング溶剤で部分的に削除し回路を形成したりする工程の繰り返しで、その際の洗浄には混じり気の無い純水が多く使われます。甲府工場ではこの純水を作る為に地下水をフィルターでろ過して使用しておりますが、地下水の水質が非常に良いためにフィルター交換頻度が著しく少なくて済み経済的にもおおいに助かっております。

 

>>>主な事業内容は?

主な製品は、薄膜サーマルヘッドやアモルファスシリコン太陽電池、スパッタリングターゲット等です。薄膜サーマルヘッドはプリクラやファックスのように電気信号を写真や文字や絵にするもので、他の印刷技術に比べて高精彩な画像が短時間で印刷できる特徴があります。アモルファスシリコン太陽電池はフィルムに太陽電池を形成したもので薄く無駄な材料を使わなくて済むエコ製品であり、主に腕時計の駆動用電池として使われており、文字盤の裏に設置し蛍光灯などの光を吸収し電池になるもので、電池交換の必要がほとんど無くなりました。

 

TDK写真(時計用太陽電池)

サーマルヘッド

 

>>>今後については? 

TDK写真(コモンモードフィルター)当社の得意分野である薄膜技術を生かしながら、事業拡大していきたいと思っていますが、特に電化製品や自動車などに多く使われるようになった電子部品を薄膜化することにより、部品の微細化や複合化が可能となってきました。例えば甲府工場で作られ始めたコモンモードフィルターは電子信号の受け渡し時のノイズをカットし液晶TVや携帯電話の画像を高精細なものへと変えてきております。更に今後はICやチップ部品を薄膜複合化することにより、家電製品の小型化や省電力化に役立つ電子部品を供給していけるようになりたいと思っております。

 

>>>ここがポイント!

毎年、5月頃になると甲府工場の敷地を取り囲んでいるバラが見ごろになり、甲西バイパスを通行される観光客などの目にとまります。これは三代目の社長がバラの愛好家だったことから、全国の事業所に苗を配布したことがきっかけとなり、今では当工場で400株までに成長したとのこと。また、工場の屋上には300kWの太陽光発電システムが設置されており、これまで研修会を数十回開催されるとともに、自治体等からの見学者を多数受入れています。平成21年には新エネルギーの導入や長年にわたる普及活動が認められ「新エネ大賞:審査委員長特別賞」を受賞されており、地元に根付いた活動をされております。

 

山梨県の魅力である水や太陽光といった立地条件を最大限生かすとともに、率先して地域活動にも取り組まれています。今後もご活躍をお祈りしております。(23.3)

TDK株式会社 甲府工場

所在地 山梨県南アルプス市宮沢160
事業内容 薄膜サーマルヘッド、アモルファスシリコン太陽電池、スパッタリングターゲット、コモンモードフィルター等
電話番号 055-284-3111
pagetop

お問い合わせ