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更新日:2022年6月9日

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犯罪被害者支援の活動について(平成29年)

犯罪被害者支援講演会&大藪順子写真展

成29年11月29日(水曜日)、山梨県立図書館において、公益社団法人被害者支援センターやまなし主催で開催されました。性犯罪被害者でフォトジャーナリストの大藪順子氏が、被害当時の状況や性暴力被害者を取材撮影した体験・活動などを被害者とジャーナリストの立場から講演し、写真展「プロジェクトSTAND性暴力サバイバー達の素顔」を同時開催しました。大藪氏は講演と写真展を通して被害者支援への理解を広める活動を全米と日本各地で行っています。

講演会 写真展
講演会の様子 写真展の様子

 

 犯罪被害者支援フォーラム2017inFUJI

成29年9月10日(日曜日)、富士吉田市民会館において、公益社団法人被害者支援センターやまなし主催で開催されました。犯罪被害者遺族による基調講演や、県警音楽隊のコンサートが行われ、犯罪被害者支援室や学生ボランティアも参加しました。

基調講演 犯罪被害者支援大学生ボランティアの活動
基調講演 講演の様子

調講演には、清水誠一郎氏を講師に招き、犯罪被害者遺族の立場から講演を行っていただきました。

場者からは「遺族の生の話を聞くことができ、犯罪被害者遺族の悲しみは計り知れないものだと痛感した」「支援の重要性が理解できた」という感想が聞かれました。

水氏は、平成23年、当時3歳の娘を小児性愛の男に殺された殺人事件被害者の遺族で、理不尽な死と向き合い、苦しみ、葛藤しながらも、命の大切さを訴えるために全国各地で講演を行っています。

下、講演の概要です。

講師人事件被害者遺族水誠一郎

演題「生きていく決意」心(むすめ)と共に

  • 事件が起きたのは平成23年3月3日、女の子の節句であるひな祭りの日でした。仕事を終え、妻と心(ここ)のすぐ上の兄、心の4人でスーパーへ買い物に出かけました。子供達はいつものようにスーパーの中にある本屋さんへ行き、私たち夫婦は食材を買っていました。
  • 購入した食材を袋に詰めていると心がやってきて、「トイレに行きたい。」と言いました。私は「トイレはちょっと待ってて。」と言いましたが、我慢できないと言うので、後から行くから、ゆっくりトイレに向かうように伝えました。一人でトイレに行けるという、成長した姿を私たちに見せられるのが嬉しかったのでしょうか。心は、笑顔でスキップをしてトイレに行きました。それが、最後に見た心の姿でした。
  • 食材を袋に詰め終わり、私はトイレに向かいました。女性用トイレには入れませんので、入り口から「心、心」と声を掛けましたが、返事はありませんでした。男性用トイレも確認しましたが、心の姿はありませんでした。身体障害者用のトイレが使用中になっていたので声を掛けたところ、「使用しています。」との返事がありました。私は、それ以上声を掛けたり、中を確認することはしませんでした。まさかそこに、娘がいるとは思わなかったからです。
  • その後、スーパーの方や警察に連絡をしてあちこち探しましたが、娘は見つかりませんでした。警察官からは、身代金目的誘拐の可能性もあるから、一緒に自宅に戻るように言われました。不安な気持ちのまま夜になり、私たちは眠ることもできませんでした。
  • 翌朝、「心ちゃんが…」と言い、妻が倒れました。妻が持っていた携帯電話には、『3歳女児、遺体で発見』とのニューステロップが流れていました。自宅で待機していた捜査員にテロップを見せたところ、「こういう事実はありません。お父さん、心ちゃんは無事です。」とはっきり答えました。ですので、私たち家族は、無事に発見されたという連絡が入るのを待っていました。3月とはいえ、まだ寒く、私は「ケガをしていてもいい。娘が暖かい場所にいてほしい。」と神様に祈りました。
    そのうち、ヘリが家の上を飛び交い、家の周りでは、大勢の人が走り回る足音が聞こえました。インターフォンが鳴り、ドアを開けると、たくさんのテレビカメラやマイクを向けられ、大勢の知らない人が詰めかけていました。なぜこんなことになっているのか、私には分かりませんでした。
  • 娘が見つかったからテレビが来たのかと捜査員に尋ねると、数分席を外し、戻ってきて「心ちゃんが見つかりました。病院へ搬送します。」と言いました。命だけは助かった!と思い、「病院へ連れて行ってください。」と言いました。すると捜査員は再び席を外し、戻ってくると「署へお父さんとお母さんをご案内します。」と言いました。私たちが「なぜですか?」と尋ねると、「大変申し訳ございません。心ちゃんの遺体の確認をお願いします。」と答えました。
  • 何が起きたか分からないまま、警察車両で警察署に行き、遺体安置室に案内されました。そこは暗くて冷たい場所で、緑色のシートを掛けられた「何らかの物体」がありました。私は、シートの下を確認するのが嫌でした。確認をと、警察官がシートをめくったら、間違いなく長女の心がいました。何度呼んでも返事はなく、抱きしめようと近づいたら、警察官から「触れません」と止められました。殺人の証拠としての遺体だったからです。顔を見るだけで指一本触れられない。子供を守れなかった。親として生きていく資格がないと思いました。それから後の記憶がなく、思い出そうとしても、シートをめくられた瞬間までの記憶しかありません。
  • その後、自宅に熊本県警の犯罪被害者支援室の職員が来ました。私は生きていく気力もなくなっており、「来てもらっても困ります。何もしてもらうことはありません。」と言いました。しかし、支援室の方は何度も足を運んでくれました。なぜか知らないが、私たちを生きさせようとしてくれたり、行動を共にするようになりました。家事の支援や、家族の心のケア、子供の世話等をしてくれました。
  • 私たちは、家族での一家心中を考えたこともありました。けれど、支援室や被害者支援センターの方々の支援の気持ちがそれを止めてくれました。支援のおかげで、どうにか一歩ずつ前へ進むようになりました。
  • 犯人が許せず、この手で命を奪ってやりたいとも思いました。裁判が始まり、裁判所の手違いで、私たちのすぐ横から犯人が出てきたことがありました。命を奪ってやりたいと思っていたのに、何もできませんでした。支援してくれた人達を裏切ることはできなかったからです。
  • 取調べで、犯人は笑っていました。小学校6年生の女児を狙ったが、何時間待っても来ないので、しょうがなく心をトイレに入れたそうです。私たちの娘は、「しょうがなく」で命を奪われたのです。被害者参加制度を利用して意見を述べましたが、犯人は微動だにしませんでした。あれから6年経ちますが、犯人からは謝罪もなく、今も精神疾患を主張しているそうです。
  • 私たち家族は、支援のおかげで生きています。また、支援のおかげで間違いを犯さずに済みました。本当に、支援をしてくださった方のおかげです。被害に遭うと、一度人生が終わります。人の心に付く傷は、事件の種類によることはなく、みんな同じです。被害に遭った人に必要なのは、「胸を張って生きていていい」と言ってくれる人、支援をしてくれる人、犯罪を許さないという人々の強い思いです。
  • 講演で事件のことを話すのは苦しいけれど、娘はもっと苦しかったんだと思いながら話しています。これからも講演を続けて行きたいと考えています。

公益社団法人被害者支援センターやまなし設立10周年

成29年6月3日(土曜日)、4日(日曜日)の両日、山梨県立図書館において、公益社団法人被害者支援センターやまなし設立10周年を迎え、各種記念行事が開催されました。展示や記念講演を通して、来場者に命の大切さや、犯罪被害者支援の必要性を伝えました。

記念式典 世田谷一家殺人事件のご遺族・入江杏氏の記念講演
記念式典の様子 記念講演の様子
生命のメッセージ展inやまなし 犯罪被害者支援大学生ボランティアの皆さん
生命のメッセージ展の様子 犯罪被害者支援大学生ボランティアの写真

ミニ生命のメッセージ展

成29年2月4日(土曜日)、甲州市民文化会館(中央公民館)において、甲州市、(公社)被害者支援センターやまなしとの共催で、ミニ「生命のメッセージ展」を開催しました。犯罪被害に遭われた方の遺品や、その遺族からのメッセージを展示し、生命の大切さを伝えました。

ミニ生命のメッセージ展(PDF:595KB)

 

メッセージ展

罪被害者と等身大の人型「メッセンジャー」には、彼らの遺品の「靴」と、残された家族からのメッセージが添えられています。

場に訪れた方々に、メッセンジャーが生命の大切さを伝えました。

メッセージ

赤い毛糸はひとりひとりの「いのち」への想いです。あなたの手で「いのち」をつなげていきましょう。』

のメッセージに大勢の方に賛同していただき、小さなお子さんも一生懸命「いのち」への想いをつなげてくれました。

映画

会場では、無免許・飲酒運転の車にはねられ死亡した被害者母子の絆と母性愛の深さをテーマとし、悪質な飲酒運転の撲滅と被害者家族の心の救済を目的に制作された映画「ゼロからの風」を上映しました。

 

お問い合わせ

山梨県警察本部警務課 担当者:犯罪被害者支援室
住所:〒400-8586 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(221)0110(代表)