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ページID:36691更新日:2019年3月27日
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山梨県では、年齢、性別、国籍、障害の有無など個人の様々な状況に関わらず、可能な限り多くの人が利用できるような施設の整備、製品の開発、サービスの提供などに配慮するユニバーサルデザインを推進するため「やまなしユニバーサルデザイン表彰」を実施しています。
なお、今までの受賞者とその取り組みの概要を以下のとおりご紹介します。
甲府駅南口駅周辺地域を県都の玄関口にふさわしい機能や街並みに整えるため「甲府駅南口周辺地域修景計画」が策定され、この計画に基づいた事業の中で、既存のエスカレーターの改修とともに、南口自由通路にエレベーターを整備した。
整備に当たっては、従来階段であったスペースを利用し、傾斜に合わせて昇降する「斜行型」を採用。また、乗り場方向と反対方向の両方の扉が開くため、降りる際に方向転換が必要のない構造となっている他、24時間稼働、音声案内による誘導、押しボタンの低位置配置、手すりの設置等、障害者、高齢者、ベビーカーを使用している方など、多様な利用者に配慮された施設となっている。
甲府駅南口エレベーター全景(左)と、エレベーター内部(右)
障害のある人の立場で「地域で安全・安心・暮らしやすいまちづくり」を目的として、「バリアとは何か?」を市民の皆様等と一緒に調査してみようと、南アルプス市の協働事業に対して提案、「バリアフリーを考える調査(平成23年度)」の実現に至る。調査は、同団体のメンバーのほか、市職員や小中学生など約300名が参加し、南アルプス市の旧6町村のエリアごと6回に分けて調査を実施。市内の公共施設や公道などを調査項目に沿って検証を行い、調査結果を取りまとめ、市に報告書を提出している。
その後、調査結果を踏まえながら、歩道と車道の段差解消を図るバリアフリー化工事についても協働事業に提案。同団体、南アルプス市、山梨県アスファルト合材協会による協働事業が実現し、平成25年度から5年間、南アルプス市役所本庁近辺の市道等において、施工可能な箇所を抽出して実施している。
バリアフリーを考える調査(左)、歩道と車道の段差解消を図るバリアフリー化工事(中)(右)
新庁舎の基本構想の柱の一つを「ひとにやさしく利用しやすい庁舎」として、新庁舎の建設にあたっては、高齢者学級や育児学級に担当者が出向いて、意見を聞いたうえで、建物の設計に反映させた。
地元産の木材を利用したサインを活用するなど、地域の資源を使って、誰にもわかりやすいような案内の工夫などを行う他、育児学級での意見をもとに、相談室の一つを授乳室と兼用として、一角に授乳スペースを設けるなど、様々な利用者に対応できる施設となるような工夫を行っている。
早川町役場新庁舎(左)と相談室兼授乳室(右)
本広場が位置する塩山地区市街地及び周辺地域は、市の都市計画マスタープランにおいて、その将来像を「多世代が暮らし 人々の集まるまちの中心づくり」と位置づけており、それに基づいて整備を行った。
整備にあたっては、地元住民の意見や、車いす利用者、ユニバーサルデザインに関する複数の専門家等から意見をもらい、以下のような工夫を行った。
1 地形的に傾斜している土地であるため、盛り土等を行い、誰もが利用しやすいよう、全体の傾斜を緩やかにし、ステージから園路、トイレにいたる部分を平坦にした。
2 多機能トイレについては、実際に車いすの方が利用する導線や回転半径等を考慮した配置、広さとし、必要な設備を設置した。
広場全景(左)と多目的トイレ(右)
韮崎工業高校の課題研究授業で木工班に所属する生徒(毎年約15名)が、あけぼの支援学校の児童生徒が使用する教材教具や遊具、児童らの身体にあった机・椅子等を製作し、贈呈している。
既製品の教材教具等では、重度の障害を持つ児童生徒にあった教育ができないため、交流がはじまった。工業高校の技術を生かして地域に貢献するとともに、障害を持つ児童生徒に対する思いやりの心を育み、地域社会福祉に貢献できる人間を育成することを目的として平成10年度から継続している。
毎年7月頃にあけぼの支援学校を訪問し、児童らの特徴を理解した上で、半年かけて製作する。引き渡し式には、製作にあたった生徒が出席し、引き渡した製作品を使って交流する。
交流活動は毎年双方にとって有意義な行事となっている。
机上の設計だけではなく、児童生徒とのコミュニケーションを大切にして、一人ひとりの児童らについて理解を深め、利用者が作り手とともに関わることができている。
あけぼの支援学校との関わりを深める中で、児童生徒の多様なニーズを蓄積し、地道な積み重ねによって、児童生徒が安心安全に長く使えるものを製作している
利用者の年齢や障害の程度に幅広く対応できるよう設計したり、作品の角を丸めて怪我をしないように配慮するなど、利用者の使いやすさや簡単さ、安全性の向上に努めている。
韮崎工業高校の生徒がものづくりの喜びを実感するとともに、障害のある児童生徒と触れ合い、お互いの個性や違いに気づき、誰もが過ごしやすい環境について考え、「思いやりの心」を育むきっかけとなっている。
あけぼの支援学校からの推薦であり、感謝の気持ちが込められている。
18年間継続して活動していることは高く評価でき、他の教育機関がこの取組を参考にして県内に波及することが期待される。
全ての製作品に共通して、けがをしないように、角をできるだけ丸めてある。
軽い力で持ち運びができるように、できるだけ軽い材料を使用しており、机なども場所を変えての学習の際に簡単に移動できる。
長く使えるように、細部まで丁寧に作られている。
児童生徒それぞれの体に合うように机の高さや大きさを設計している。
肘が置けることで、食事動作や飲み込みをサポートする。一般的な長方形の形より、机の上に置いたものが落ちにくい。
小学部から高等部までの児童生徒に対応できるように、高さを調整できる机も製作している。
好きな角度に調整できたり、書物が落ちないように受けをしっかりつけている。
頭の角度を自由に調整することや、本と一定の距離を維持するために同じ姿勢を保つことが難しい児童生徒が、自然な姿勢のまま学習できる。
手元が明るくなる。
少しの力で、スイッチのオンオフができる。
(右)バーをすらいどさせるだけで音楽が鳴る。
1.学習教材
学習机(まがたま机)・学習用椅子・大型譜面台・書見台・高さが変えられる学習机
ベッド上の机・記憶課題用ボックスなど
2.遊具
ピンボールゲーム・キャスターカーリング・パズル・ボーリング転がし台など
3.その他
展示台・キーボード台・うつ伏せマット・キャスターキャビネット・キャスターボード
ACリレースイッチなど
製作前に、あけぼの支援学校の児童生徒と交流を深める。過去の先輩たちが作ったゲームを一緒に楽しんだり、一緒に授業を受けたり、工作をしたりする。
机上の設計だけではなく、一人一人の児童・生徒について理解を深め、イメージしながら製作に取り組む。
甲府市役所新庁舎の建設にあたり、計画・設計のそれぞれの段階において利用者の意見を聞き、施設整備を実施した。さらに、完成後も検証を行うなどユニバーサルデザインの考え方を踏まえた取り組みが高く評価された。
甲府市役所庁舎外観
公募による市民と各種団体の代表が参加した基本設計市民ワークショップの様子
利用者の意見を取り入れた、大きく、誰でもわかりやすいサイン表示(左側は音声誘導案内)
障害がある方でも不自由なく観光を楽しめるようにホテル運営をされている。平成11年よりユニバーサルデザイン(UD)に配慮した客室の整備進め、現在までに23室がUDに配慮した客室となっている。単にバリアーフリー化するのではなく、利用者からの意見を参考にして、部屋の整備やサービスに活かすなど、ユニバーサルデザインの考え方を実践的に取り入れている。
また、利用者の食事をする能力にあわせて「一口大」や「きざみ食」などに調理する先進的な取り組みもされている。
富士レークホテル
車いすでも移動できるゆとりのある客室。障害者・高齢者に対応したリクライニングベッド。
入浴者の能力に応じて配慮された浴室。浴槽手すりと座ったままでも浴びられるシャワー。
通常・一口大・極きざみ
利用者の食事をする能力にあわせて準備される料理。
平成19年よりユニバーサルデザインの視点に立った観光分野での取り組みを行い、ピクトグラムや多言語表記に配慮した観光地図などを作製している。これらの取り組みを通じて、ユニバーサルデザインに係わる人材の育成・教育を行なっている。
英語併記の観光マップ
多くの外国人の方も分かるイラスト入り多言語メニュー表
旅行者向けの指さし会話表
巨摩野農業協同組合Aコープ甲西店(南アルプス市戸田55-1)は、平成22年秋の開店に際して、新規店舗を計画する段階から、障がいのある方の意見を取り入れた上で店舗の整備を行っており、ユニバーサルデザインの考え方を極めて実践的に取り組まれた。
また、従業員の方へ、ユニバーサルデザインに関する検定資格の取得を促進し、ハード面のみならずソフト面においてもユニバーサルデザインの推進に取り組まれた。
Aコープ甲西店
雨天時、車いす利用者などが乗降する際に濡れないように配慮された駐車スペース
誰もが利用しやすい段差のない歩行スペース
車いすが同士がすれ違える広い通路
幼児いすや手すり、オストメイト用シャワーなど、様々な利用者に配慮したトイレ
山梨県車いす生活者の会「ステップアップ」は、公共施設等の実態を利用者の立場から調査し、改善が望まれる事項の提言を行うなどの取り組みを、継続して行われた。
この取り組みは、車いす使用者にとどまらず、視覚障がい者など他の障がい者や地域の住民、児童生徒等の様々な主体が参画するものとなっており、その点が高く評価される。
公共施設の調査の様子