更新日:2025年4月22日

柔軟な働き方とデジタルスキルで山梨県をもっと元気に!

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山梨県は、子育てや介護などで時間に制約のある女性を主な対象として、デジタルスキル習得のためのプログラム「やまなし女性デジタル人材プロジェクト」を開始した。SAP等ITスキルとビジネススキルをオンライン講座と集合研修で学び、需要が高く柔軟な働き方が可能なデジタル分野の人材育成を支援。女性の自己実現や地域活性化、人口減少対策につなげることを目的とした新たな取り組み。

やまなし女性デジタル人材プロジェクト始動の背景とカリキュラム

令和5年度に県が実施した「働き方改革等実態調査」によると、特に30代から50代の女性において、家事・育児・介護といった理由から非正規雇用を選択する割合が高いことが明らかとなり、子育てなどで時間的制約を受ける女性に寄り添った人材育成や就労支援の必要性が強く浮き彫りとなった。
こうしたことから、山梨県は、需要が高く柔軟な働き方が可能なデジタル分野における人材育成のモデル事業として「やまなし女性デジタル人材プロジェクト」を企画。県内の女性を対象に、委託事業者である株式会社MAIAが、専門的な学習プログラムの提供や運用、広報活動、さらには全国の連携企業とのマッチングによるフルリモートでの就労支援を実施。

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「やまなし女性デジタル人材プロジェクト」は子育てや介護をしながら自宅で「学び」「働きたい」という女性を応援する新たな取り組み

第一期の募集は2024年10月に開始された。定員20名に対し、6倍以上の133名という応募数に、急遽定員を40名に拡大。電話やメールでの問い合わせが殺到するなど、広く県民に関心を呼んだ。
第一期受講生の年齢層は20代から60代と、無職、非正規雇用、自営・フリーランスを中心に多様な経歴を持つ女性が参加している。

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集合研修の様子。無職、非正規雇用、自営・フリーランスを中心に多様な女性たちが参加

受講講座プログラムは、2024年11月22日から2025年3月15日までの4か月間。基本はオンライン形式だが、同期との一体感やモチベーションアップを目的として現地集合研修も2回行う。プログラムは、ITスキルとビジネススキルの二本柱で構成。特にITスキルプログラムでは、SAP(企業の販売管理や会計管理を一元的に支援するシステム)を集中的に学ぶことで、幅広い業務知識や実務能力の習得を図る点が特徴となっている。
また、講座修了後の株式会社MAIAが実施する認定試験に合格すると、企業とのマッチングサポートが受けられる仕組みが用意され、フルリモートでの高単価な就労案件に応募する機会を提供する点が大きな魅力となっている。
さらにプロジェクトは複数人で業務を分け合う「ワークシェアリング」で進めるのが特徴。これは女性の柔軟な働き方の実現に向けた先進的な試みとして内閣府の「女性デジタル人材育成プラン事例集」にも取り上げられるなど注目を集めている。

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同期との一体感やモチベーションアップが目的の集合研修。会場は活気にあふれ、グループディスカッションも盛り上がった

女性のデジタルスキル向上が拓く、柔軟な働き方と地域革新

第一期の一環として実施された集合研修は、ビジネススキルプログラムの一部として「自分の強みを見つけ、稼ぐチカラを身につける」というテーマのもと、2025年1月26日(日曜日)に開催された。
株式会社MAIAの女性活躍推進チームディレクター森山謙治さんが講師を務める今回の集合研修は、約5時間にわたり、セルフブランディングの重要性や、日常の中でビジネスに結びつく発想のヒントをワークショップ形式で学んだ。

研修の参加者は皆意欲的で前向きで、実践的な学びの場として活気にあふれた。これまでの現地集合研修の実績から、2回の集合研修に参加した受講生は認定試験の合格率が高く、途中離脱するケースも少ないことが実証されており、研修効果の高さがうかがえる。
講座の卒業生であり、現在は株式会社MAIAで受講生サポートに従事する原田快子さんが今回の山梨県のプロジェクトを担当。「(受講したことで)自分のやりたいことができ、在宅での充実したライフスタイルを実現できている」と語り、実体験をもとにした受講生への熱意あるサポートを続ける姿勢を見せた。

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2人の子どもがいてフリーランスとしても活躍しているという実体験を交えて話す株式会社MAIA森山さんの講義はとてもパワフル

プロジェクトの主担当者である山梨県労政人材育成課課長補佐の田邉英理子さんは、「フルリモートなど柔軟な働き方に対し、多くの県民が関心を持つ一方で、育児や介護など家庭の事情で自宅から離れられない方のなかにも、何らかの形で社会とつながりたい、働きたいというニーズがあることがわかりました」と話す。
また今回の募集定員の超過は、県内の女性が自己研鑽に意欲的である証であるとしつつも、「選考にもれてしまった方々への今後の対応や、受講後のスキルを活かす受け皿となる県内の企業や就労先の整備も急務だと思っています」と述べた。

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「県としても初の試み。新しい発見や想定外のこともありますが、皆さんの声をしっかり聞いて進めていきたい」と話す山梨県労政人材育成課課長補佐の田邉英理子さん

この課題を受け、「女性デジタル人材育成・就労支援緊急対策事業」として、SAPに加えRPA(業務自動化による生産性向上)やITエンジニアのカリキュラムを新たに導入し、さらなる人材育成と就労支援の充実を図る計画が進められている。
さらに県内企業との連携の強化や、学んだスキルを実務に結びつける仕組みの整備に向け、今後もプロジェクトはより一層の取り組みを継続。子育てや介護など、時間的な制約を受ける女性たちが自らの能力を最大限に発揮できる環境づくりを推進していく方針である。
このプロジェクトは、女性の多様なライフスタイルに寄り添い、デジタルスキルの習得と柔軟な働き方を実現する取り組みとして、地域経済の活性化と住民定着を促し、結果として人口減少危機への対策の一端を担う可能性が期待される。
山梨県の女性が自らの能力を最大限に発揮し、安心して働ける環境を整えることで、地域全体の活性化が促進され、長期的には出生率の改善や人口流出の抑制にもつながっていくだろう。

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「やまなし女性デジタル人材プロジェクト」第一期生募集のリーフレット。今後継続される取り組みにも注目が集まる

挑戦やキャリア形成を後押しする山梨県のサポート体制

山梨県の各種支援施策、キャリアアップ、起業支援、子育てと就労支援、スタートアップの情報など、女性の活躍を後押しするための有益な情報を紹介する。

やまなし女性デジタル人材プロジェクト

山梨県が実施する県内女性のためのデジタル人材育成・就労支援事業「やまなし女性デジタル人材プロジェクト」の趣旨や目的、具体的なカリキュラムを紹介している。

やまなしキャリアアップ・ユニバーシティポータルサイト

山梨県内の企業、ビジネスパーソンに向けた本格的で質の高いリスキリングプログラムを紹介しているほか、県内の人材育成に関する講座情報も掲載している。

スタートアップ向け公式情報発信サイト「STARTUP YAMANASHI」

スタートアップの誘致及び創出並びに育成を図ることを目的として開設した山梨県スタートアップ支援サイト。充実した支援策と本県の特徴などを広く情報発信している。

山梨県子育て就労支援センター

子育て中の方に向けた就職に関する情報提供や不安や悩みの相談窓口を紹介。Q&Aや県内の関連団体へのリンク集も充実している。

取材を終えて

行政の信頼感と民間の先進ノウハウを融合させた本プロジェクトは、山梨県ならではの魅力的な試みだ。参加者が予想を上回ると即座に定員を増やしたり新たな講座の企画にも着手するなど、柔軟かつフレキシブルな県の対応が心強く感じた。参加者の成長が地域全体の未来を切り拓き、人口減少対策にも寄与するだろう。

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このページに関するお問い合わせ先

山梨県人口減少危機対策本部事務局人口減少危機対策課

住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1

電話番号:055(223)1845

ファクス番号:055(223)1851

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