てくてくvol.18
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記され、日本文化を象徴する素材でもあり、印伝は近年海外でも注目を集めるようになりました。ラグジュアリーブランドはこだわりも強く、柄などに関するチェックも厳しいですが、海外の感性に触れることは、私どもにとって良い刺激となり、技術革新につながる部分もあります。 印伝の伝統技法には、模様の色ごとに型紙を替え、多色使いの模様が表現できる『更紗技法』、太鼓と呼ばれる筒に鹿革を張り、藁をたいていぶし、茶褐色系の色と模様を施す『燻べ技法』、染め上げた鹿革の上に型紙を載せて漆を刷り込む、印伝において最も代表的な『漆技法』があります。これらの伝統技法は古来より受け継がれてきたものであり財産ですから、決して無くすことはできません。伝統を守り、それを生かして、新しさを追求する『不易流行』の実現こそが、伝統産業にとって大切なことだと考えています」 「近年は、小売店さまや問屋さまを応援するという立場から、自社で販売するものとは別に、お取引先さまのオリジナル商品の製造を請け負うこともあります。そんな中、山梨の地域資源を若い女性の視点でプロデュースしている地元の女子大生グループ『モモハナ』の企画による商品にも協力させてもらいました。モモハナの企画は、若い女性が印伝を手にしたくなるようなかわいらしさのあるデザインで、印伝の魅力の広がりを感じました。 自社の製品については、時代のニーズを捉えながらも、あまり細かい流行は追うことなく、長く愛用していただける商品でありたいと考えています。一度購入したら、何年も安心して使っていただき、使い込むほどに手になじみ柔らかな風合いになる、鹿革の使い心地の良さを感じてほしいと思っています。 鎧・兜から始まり、時代と共に作るものは変わってきましたが、伝統的技術、技法を使った地道な積み重ねが今につながっているのだと思います。長い歴史の中の数十年を私どもが担当させてもらっているわけですから、昔から引き継いだものを後世に伝えていく責任と義務があると、私は感じています」世代を超えて愛される甲州印伝を目指してさら さふすわら株式会社 印傳屋上原勇七 代表取締役社長株式会社 印傳屋上原勇七甲府市川田町アリア201TEL.055-220-1660(本店)甲府市中央3-11-15TEL.055-233-1100上原 重樹さ んアメリカで展開されている「INDEN EST.1582」シリーズの商品。1582は印傳屋の創業年を表している県特産のモモと印伝の定番のトンボ柄をあしらった「モモハナ」プロデュースによる印伝09

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