てくてくvol.18
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 「世に出すからには、最高レベルのものを出す」。そんな職人の誇りと、飽くなき探究心が原動力となりスタートした2人のコラボレーション。そして生まれた「甲州貴石切子」は、表面は清水さんが甲府の伝統的な研磨技法である手ずりで施した多面体カット、裏面には深澤さんが切り子細工を施すことで反射面が多くなり、今までにない輝きを放つ宝石となりました。 「切り子は昔からある工法ですが、ガラスと違って硬い鉱物に美しい切り込みを入れるには相当な技術が必要です。私は切り子のカットをする時、いつも表面の清水さんの多面体カットをイメージしながら作業を進めています。お互いの技術が融合した時に最高の状態にすることが大切なんです」と話す深澤さん。続けて清水さんも「2人ともプロとして第一線でやっていますし、会社も違うわけですから、お互い尊敬し合える関係があるからこそ実現したコラボなんです」と話してくれました。 さらに2人は宝石や研磨技術への考えも語ってくれました。「甲州貴石切子は海外では決してまねできない技術であると自負しています。これからも我々多面体カットと切り子細工を組み合わせ、感動的な輝きを実現海外ではまねできない技で人々に夢を与える宝石にはレベルを上げ続け、誰も追い付くことができない技を極めていきます。そして山梨のジュエリー産業の発展のために、伝統から生まれる新しいジュエリーの姿や技術を、次世代に継承していきたいと考えています」と深澤さん。「宝石は千差万別で非常に繊細なものですが、どのようなものにも対応し形にしていくのが職人の技術です。もちろん我々も試行錯誤を繰り返し、時には失敗もありました。しかし、宝石というものは、見る人に夢を与えるものでなくてはなりません。こちらも一切妥協せず、手を抜かず作り続けてきた結果、本物の良さを見極める感性を持つ方々に認められるようになり、心からこの製品を欲しいと思ってくださるお客さまが増えてきました。私たちが一つ一つ、この手で作り上げたものに対し『感動しました』といった声をいただくこともあり、本当にうれしく思っています」と清水さんは笑顔で話してくれました。山梨ジュエリーミュージアム山梨の宝飾品加工生産の歴史、卓越した技術、美しい宝飾品の数々を紹介し「山梨ジュエリー」の魅力を発信。土、日、祝日には、職人たちによる実演プログラムなども実施。清水さんと深澤さんも定期的に参加している。/甲府市丸の内1-6-1  山梨県防災新館1階やまなしプラザ内/055-223-1570/10:00~17:30(入館は閉館の30分前まで)/火曜日(祝日の場合は、その翌日)年末年始/無料住 所TEL開館時間休館日入館料 【企画展】 3月2日(月)まで開催中クラフツマンの表現(左)株式会社 シミズ貴石甲府市高畑1-13-18/TEL.055-228-1180清水 幸雄さ ん(右)ジュエリークラフト フカサワ甲府市青葉町15-23/TEL.055-232-1214深澤 陽一さ ん株式会社 シミズ貴石 代表取締役社長ジュエリークラフト フカサワ※3月10日~19日は臨時休館07

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