てくてくvol.18
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 「約450年の歴史があり、県の郷土伝統工芸品に指定されている『西島手漉和紙』と山梨の地域資源を組み合わせた新製品の開発に取り組んでいます。そうした中、県産業技術センターのデザイン支援を受け、夏や太陽など明るいイメージを持つ『明野のヒマワリ』に着目しました。北杜市明野町では、毎年60万本のヒマワリが咲き誇る時季に、20万人もの来場者があるサンフラワーフェスが開催されています。この会場で咲き、見頃の過ぎたヒマワリを使って紙を漉く『ヒマワリ和紙』を開発し、その和紙で作ったグッズを会場で販売しました。明野のヒマワリと西島手漉和紙のブランドイメージを高め、たくさんの方々に知っていただきたいと考えたのです。 当社が属している西島和紙工業協同組合では、特殊稲わらから繊維を抽出するために造ったプラントを保有しています。これまでも富士川町のユズや、身延町のあけぼの大豆などの地域資源から繊維を抽出してきた経験と技術があり、これが今回の開発にも大いに生かされました」 「明野で咲いたヒマワリが和紙となり、グッズを買ってくださったお客さまが、再び訪れてくれる循環(廻り)をイメージして『MAWARY』(マワリー)と名付けました。マワリーにはヒマワリの茎から採れる高品質な繊維を使っていて、その一部が紙にそのまま残ることで、紙色が真っ白ではなく、絶妙な風合いが感じられるのが特徴です。デザインも工夫したことで、若い女性のお客さまも『かわいい』と言って、手に取ってくれるようになりました。和紙に対して『かわいい』という反応は、長年和紙に関わってきた私にとって、思いもよらない新鮮なものでした。 山梨には和紙の原料にできる素材がまだまだあります。今回のヒマワリのように地域の素材を生かした製品の開発を行うことで、他ではまねのできない和紙を今後も生み出していきたいです。それがそこにしかない個性を生み出し、文化を守ることにもつながるはずです。西嶋という地域だからできる和紙を作り続け、伝統の手漉きの技を次の世代に継承していきたいと思っています」地域資源を生かした和紙づくりで地域の魅力を発信「MAWARY」から広がる可能性祖父が山十製紙に道具を納めていた縁で紙漉きの道に進み、技術習得に励む新人の河西竜海さんまわ有限会社 山十製紙 代表取締役有限会社 山十製紙身延町西嶋1212/TEL.0556-42-2511笠井 伸ニさ ん漉いた紙の状態を見極めて乾燥させる松井あゆ美さんは、この道に入って40年以上13

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