てくてくvol.17
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全国の皆さんに昇仙峡を知っていただくため、日本遺産への認定を目指すなど、訪れてもらえる観光地づくりに取り組んでいます。昇仙峡を観光地として再興していくためには、今ある良いところは継承し、そこに新しい発想を取り入れながら、これからの観光のあり方を見つけていく必要があります。全盛期の頃、観光客は昇仙峡の入り口である長潭橋までバスで来ていました。そこから渓谷沿いの道を観光遊覧トテ馬車に乗ったり、歩いたりして四季折々の風景に彩られる渓谷を眺めながら、上流にある仙娥滝を目指しました。道すがら昇仙峡を代表する覚円峰や渓流に点在する奇岩などを楽しめ、観光客は一日ゆっくりと滞在していったものです。しかしマイカーで滝上まで行けるようになると、風情あるトテ馬車の数も減り、下流部は衰退していきました。今後は、見どころも多い下流部にも訪れてもらえるようなプランを考えていきたいです」 「昇仙峡を訪れた方々に、この地の魅力を満喫していただくため、私たちも改めて昇仙峡の歴史や自然の素晴らしさを見つめ直し、散策のモデルコースをつくるなど、自然と調和した楽しみ方を提案しています。昇仙峡が甲武信ユネスコエコパークに含まれていることも踏まえ、自然や食、アクティビティー2年前に運行を終了したトテ馬車。最盛期には30台以上が活躍も充実させ、子どもたちにも昇仙峡でいろいろな経験をしてもらえるようにしたいです。大人になってから、幼い頃、昇仙峡で遊んだことを思い出して、今度は自分の子を連れて来てくれる、そんな観光地を目指しています。昇仙峡は甲府駅から車で30分ほどで、またバスでも行けるエリアですが、都会では味わえない自然の恵みに溢れた非日常の心地よさがあります。さらに仙娥滝より奥には、私たちが奥昇仙峡と呼んでいる板敷渓谷や荒川ダムなど、あまり知られていない見どころもあります。観光というと昨今インバウンドが注目されがちですが、私は、まず日本人の皆さんにこそ訪れていただき、日本人の感性に訴える美しさに満ちた、歴史ある昇仙峡を楽しんでもらいたいです。私たちも行き届いたおもてなしを心掛けながら、日本が誇る景勝地が後世に受け継がれていくことを願っています」心に残る思い出に本物の魅力を伝える観光地を目指して昇仙峡ロープウェイ株式会社 常務取締役会長 芦澤 卓夫さ んロープウェイパノラマ台駅から行ける弥三郎岳から望む富士山新緑の覚円峰「昇仙峡は春夏秋冬といろいろな表情を見せてくれます。特に私は、新緑の頃が好きですね。若葉に彩られた覚円峰を見ると元気が出てきます」と芦澤さん昇仙峡観光協会ながとろ11

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