てくてくvol.16
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 北岳をはじめとする南アルプス北部の登山拠点である広河原に山荘が建てられたのは昭和60(1985)年。現在は、初代管理人の塩沢久仙さんの跡を継ぎ、息子の塩沢顯慈さんが2代目として管理人を務めています。顯慈さんは、訪れる人にくつろぎの時間を提供しながら、登山者の安全を見守り続けています。広河原でバスを降り、北岳を仰ぎ見ながら、つり橋を渡って、林に囲まれた広河原山荘を訪ねました。 「私は物心つく前から山小屋に遊びにきていましたが、身近にある良さには気付かないもので、調理の専門学校で勉強し20歳でこの山小屋の仕事に就いた頃は、今ほど山が好きだという気持ちはなかったんです。しかし、遭難救助や登山ガイドに携わるなど、山との関わりが深まってきた26歳のとき、父から山荘を引き継ぐことになりました。その時、どう山に立ち向かうかは、自分次第だと思い、大好きな『食』を通して山に向き合っていくことに決めたんです。山で採れた山菜や、地元の生産者の野菜や肉北岳の玄関口「広河原山荘」を訪ねて山梨の豊かな食材を使い食を通して山と向き合う08

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