てくてくvol.15
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FEATUREぼたん山梨の花火を世界の空に「甲州花火」を広めたい市川三郷町 花火資料館花火玉の模型や、打ち上げ筒、神明の花火大会のポスターなどが展示され、花火の構造や歴史などを学ぶことができる。広がっていきました。 大正時代から昭和初期にかけて、菊や牡丹と呼ばれるような形の種類も増えていきました。昭和の中ごろになると色や形もさらに豊富になり、また一発ずつ見せるものから、何発も組み合わせて打ち上げるスターマインなど、打ち上げ手法の技術も進歩して、趣向を凝らしたものへと発展していったのです」 「毎年8月7日に市川で開催される神明の花火大会は、平安時代に紙すきの技を市川に伝えた甚左衛門の功績をたたえ、江戸時代に始まったといわれています。いつしか途絶えたその行事が復活したのは平成元年のこと。それから30年、神明の花火大会は回を重ねるごとに、技術革新が進んでいきました。昨今、コンピューターでプログラミングすることにより、打ち上げのタイミングを調整したり、その場の雰囲気に合う音楽を挿入したりするなど、花火の演出にもより一層のエンターテインメント性が追求されています。昔から受け継がれ、培われてきた花火師たちの技と、最先端の技術の融合による表現は進化を続けています。花火師は、自分で作って打ち上げて一人前とされてきましたが、これからは作る職人、魅せる職人というように、それぞれ専門的な分野で活躍する職人が求められていくかもしれません。しかしながら一方で、プログラミングでは表現できないアナログ的な味わいを求める動きもあります。斬新だけれど、ゆっくりと展開され、配色もそれほど多くない、どこか懐かしい、そんな心が温かくなるような花火もこれからの時代に必要だと感じています。 来年の東京オリンピック・パラリンピックでは、山梨の花火も演出に用いられる予定です。この機会に日本が誇る花火文化を世界にアピールし、いずれは山梨から『甲州花火』というブランドを確立して、世界の空に打ち上げていけたらと思っています」齊木煙火本店の旧商号が明記された昭和30年代の両国川開きのパンフレット(個人蔵)市川三郷町高田531-1 TEL.055-272-0901開館時間:11:00~15:00 休館日:月曜日・火曜日 入館料:無料06

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