てくてくvol.15
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上昇高度と開いたときの直径が共に500mにもなる、神明の花火大会で最大の2尺玉(右)株式会社 齊木煙火本店市川三郷町市川大門74/TEL. 055-272-0158株式会社 齊木煙火本店 代表取締役社長⦆4代目齊木 克司さ ん直径が共に500mにもなる、の2尺玉(右) 「山梨の花火のルーツは、武田氏の時代の狼煙にあるといわれています。当時、狼煙には流派があり、武田流と呼ばれた狼煙衆によって軍事用として上げられていました。ただ、狼煙は煙ですから、今のような観賞用の打ち上げ花火の起源は、日本に鉄砲が伝来し、火薬が入ってきたことにあるといえるでしょう。このように、花火の歴史は非常に古くから始まっているのです。 戦のために広まった火薬が、人々の楽しみとしての花火に用いられるようになったのは江戸時代です。花火は庶民の文化となり、有力な商人たちが花火師に作らせてその美しさを競い合っていました。『鍵屋』『玉屋』という言葉は聞いたことがある方もいると思いますが、これは当時を代表する花火師の屋号です。競い合うことで花火を作る技術が進歩し、発展していったのです。 花火は人々にとって娯楽としてだけではなく、別の役割も果たしていました。例えば隅田川花火大会の前身である両国川開きでの花火の打ち上げは、飢饉や疫病により、不幸にして道端や川に捨てられた死者の慰霊と、厄よけのために始まったという説があります。また、伊勢神宮の奉納全国花火大会など、神社に花火を奉納すると時代の変遷の中で生まれた花火は、庶民の文化として根付いていったFEATURE花火の今昔が物語る、思いに寄り添う繊細な美意識。市川三郷町花火資料館にてのろしき きん04

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