山梨てくてくvol.13
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みずみずしい感性と温かいまなざしで、人間を、そして自然を描いた画家ジャン=フランソワ・ミレー。絵の前に佇むと、静かな気持ちで自分の内面と向き合えます。ミレーの生涯、そしてミレーの作品の魅力を山梨県立美術館の小坂井玲学芸員が語ります。フランス・ノルマンディーより始まるミレーの原点。FEATURE ジャン=フランソワ・ミレーは、1814年にフランス北西部ノルマンディー地方の村・グリュシーで農家の長男として生まれました。土地を持ち、古くから続く農家で、親戚には聖職者もいたことなどから、幼少期には古典的な物語や宗教に関する知識を身に付けていったようです。 小さい頃から絵を描くのが得意だったミレーは、18歳になるとグリュシーの近くにあるシェルブールに出て絵画を学び、1837年にはパリに出て国立の美術学校で指導を受けることになりました。当時の美術教育では、神話や宗教を主題とした歴史画が高貴なものとされ、これらを描くことが基本であったため、ミレーもそれにならって学び始めました。 当時、画家の登竜門であったローマ賞の獲得も一つの目標でした。受賞者は国費で絵画の本場・ローマに留学することができたため、賞を獲得することは画家としての成功への近道でした。ジャン=フランソワ・ミレーの生涯。ナダール《ミレーの肖像》1868年(山梨県立美術館蔵)04

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