山梨てくてくvol.10
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 山本さんは「印傳の山本」の3代目。平成12年から家業に入り、経済産業大臣指定伝統的工芸品 甲州印伝の伝統工芸士の資格を取得したばかりの若き職人です。 「私が中学生の時、父が日本でただ一人の伝統工芸士になりました。認定の盾を見た時、『伝統工芸士』という職業に憧れを抱き、この業界に入ることを意識し始めました。当時の私は『士』が付く職業に格好良さを感じたんです。印伝の製品は生まれた時からいつも身近にあり、小・中学生のころの筆箱も、もちろん印伝でした。印伝に囲まれて育った私にとって印伝は、一番好きなものなんです」 「環境保護のために駆除したニホンジカの皮を、環境に優しいなめし方で加工し、有効活用していく山梨県の取り組みに共感し、山梨県産業技術センターとともに2年ほどの試行錯誤を経て、県産鹿革による製品『URUSHINASHIKA』を開発しました。新しい始まりをイメージする『白』をベースカラーとし、これまでの印伝にはなかった細密な模様の表現にも挑戦しました。カムフラージュ柄には、県の花・フジザクラや県の鳥・ウグイス、山梨県の形が隠れています。今回のような、いつ、どこの山で捕獲した鹿で、誰が作ったものか、といったトレーサビリティーが分かる製品作りは、私の理想とするところです。 また、人気キャラクターやゲーム関係、絵本の主人公などとのコラボレーションにも取り組んでいます。それによって若いお客さまに印伝を手に取ってもらえる機会が増えてきました。私と同世代の方たちと、印伝を通してコミュニケーションが生まれることがとてもうれしいです」 「私は山梨を印伝の産地として守り、さらに発展させていきたいと思っています。そのために色鮮やかな黄色やブルーの印伝は、父の代から作り続けている印伝は私にとって一番好きなもの「白」をベースカラーとした印伝その斬新な取り組みに共感して伝統工芸士として考える後進の育成は、伝統工芸士として後進を育成し、いずれは独立して会社を立ち上げるまでになってほしいと考えています。私が技術を教えた人が成長し、その人らしい印伝を世に出していく、そして私も負けずに切磋琢磨して作り続ける。そうやってお互いが高め合っていくことで、今までたどり着けなかった境地まで行けるのではないかと思っています。誰もが知る『印伝=山梨』、そこを生きているうちに見ることが私の今後の目標です」有限会社 印傳の山本 甲州印伝の伝統工芸士有限会社 印傳の山本甲府市朝気3-8-4/TEL.055-233-1942山本 裕輔さ んせっさ たく ま11

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