山梨てくてくvol.07
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吉本 充宏さ ん山梨県富士山科学研究所火山防災研究部 主任研究員のか、といったことは実はまだよく分わかっていません。富士山は、科学的にもまだまだ未知な部分が多いのです」 「爆発的な山頂噴火をしなくなった2200年前以降も、富士山は山腹で数多く噴火しています。中でも精進湖と西湖が分断した864年の『貞観噴火』はひときわ大きいもので、その時流れた溶岩の上に形成された原始林が『青木ヶ原樹海』です。その時代あたりから富士山は信仰の対象にもなってきているはずです。浅間神社の由来も火山という自然現象を恐れ、噴火を鎮めるためだったといわれています。静岡県側の浅間神社はちょうど溶岩流の先端に建っているんですよ。その当時は、溶岩が流れる様子がよく見え、人々は『恐れる』っていうのと同時に、火山に『見入っていた』というのもあると思うんです。私も世界中のいろいろな火山に行きますが、真っ赤になって溶岩が流れる光景は、神秘的なんです。 富士山に対しても、怖いものと、敬うものと、その両方の思いがあるのではないでしょうか」荒ぶる火の神を恐れまた魅せられ富士山は信仰の霊山となった。[赤色立体地図による富士山の立体模型](アジア航測 作製) 表紙写真に使用地形の詳細な高低差まで捉え、立体的に見えるよう赤く色付けした地図。この地図により、富士山を覆う何層もの溶岩の姿や、溶岩の流れる方向、大小の側火山の形までリアルに浮かび上がって見えるようになった。立体模型に富士山の溶岩と同じ粘性の液体を流すと、溶岩が流れた方向を再現したり、予測シミュレーションしたりできる。富士山をさまざまな角度から科学的に研究し、その情報・成果を発信する機関富士山科学研究所住所/富士吉田市上吉田剣丸尾5597-1TEL/0555-72-6211 開館時間/9:00~17:00休館日/年末年始(12/29~1/3)富士山について、より深く学べる県立施設富士山の持つ多様な自然と文化を感じながら、世界遺産の価値を分かりやすく紹介する施設富士山世界遺産センター住所/富士河口湖町船津6663-1TEL/0555-72-0259 開館時間/8:30~17:00休館日/南館:第4火曜日、北館:年中無休06

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