山梨てくてくVOL.06
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信玄の威徳を伝え、はせ参じた農民たちの心に寄り添う思いで演じる装備の豊かさ文化レベルの高さに触れ、歴史絵巻をひもとく楽しみ 4月の信玄公祭りで私が演じる軍奉行は、祭りの進行役を務める武者です。軍奉行は実際に信玄の時代にもいて、戦況を見ながらお館様の命を受けて采配を振る重要な役割も担っていたようです。私は信玄や、はせ参じた農民たちの思いを心に浮かべながら、時にはアドリブも織り交ぜて演じています。突然兵役に駆り出された農民たちは、不安もあったことでしょう。それでもはせ参じたのは信玄の威徳があればこそです。豊かで平和な国を築こうという信玄の強い思いが農民たちに伝わり、それが武田軍の強さにつながっていたのだろうと思います。そういう思いを込めて自らを鼓舞し、信玄と軍団の雄壮さと素晴らしさを演出することをいつも大切にしています。信玄公祭りは合戦を賛美する祭りではないので、「かかれ」というような台詞はあまり使わないようにしています。 祭りの最高潮と言えば、やはり出陣の儀です。「これより出陣の儀を執り行う」の声を上げる時には、声により一層の張りを持たせ、信玄をしのばせる意気を伝えるように演じています。中でも、三献の儀から出陣までの一連の儀式は見応えがありますよ。 戦う強さだけでなく、装備の豊かさという文化レベルの高さも、信玄公祭りで感じ取ってもらいたいですね。甲冑は物作りの頂点と言えますし、女武者隊の衣装も素晴らしいです。戦国の世によくあれだけの装備ができたものだと思いますよ。信玄公祭りは時代考証もしっかりしてありますから、歴史絵巻をひもとくことができます。 山梨は自然豊かなところです。祭りが行われる4月上旬には、桜も見頃となるでしょう。祭りを皆さんに楽しんでいただけるよう、私も勇猛果敢な軍団の一人として、精いっぱい演じていきたいと思っています。かっちゅう11

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