国文祭公式記録ウェブブック
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夏のステージ-山河、きらめく。-062Yamanashi Kokubunsai 富士山の文化的な価値は、神社や登山道、洞穴など数多くの信仰の対象を生み出したことや、葛飾北斎、安藤広重、横山大観など、芸術の大家の作品に多数取り上げられたことから、その評価の高さと影響の大きさが分かります。「夏のステージ やまなし発見フォーラム」は、世界遺産に登録された富士山をテーマとして、その魅力を紹介することを目的に開催しました。 小松万知代山梨県企画県民部理事の挨拶に続き、ストリングスの生演奏と詩の朗読、山ガールファッションショー、223雑学王選手権を行いました。この内、詩の朗読では、弦楽四重奏による演奏にあわせて、覚 和歌子氏がオリジナル詩「わたしはここに」をご自身の朗読によって披露しました。 一連のパフォーマンスの後、アルピニストの野口 健氏による「富士山から日本を変える~富士山・今後の期待と課題~」と題したゲスト講演を行いました。野口氏は、富士山の自然保護・清掃活動を振り返りつつ、入山規制など富士山を守るルールを整備することが必要と指摘しました。 ゲスト講演に引き続き、山梨県立文学館前館長の近藤信行氏をコーディネーターとして、大原美術館館長の高階秀爾氏、山梨英和大学教授の石田千尋氏、詩人・作詞家の覚 和歌子氏、作家のC.W.ニコル氏をパネリストに迎え、富士山の魅力を取り上げたパネルディスカッションが行われました。 パネリストより、季節を超越した山というイメージと憧れが和歌によって定着し、役行者や聖徳太子の伝承によって神聖さが浸透したこと、絵画の対象として時代を超えて画家の心を捉え続けていること、現代詩の中でも富士山の表現に世相や時代が垣間見えること、富士山の自然を守るためには森の生態系を守るレンジャーの育成が必要であることなどが報告されました。 議論では、富士山に学んだものとして、人間の力が全てではないということや自然に対する畏れ敬い、その深さを教えてくれる山であるとの意見が寄せられました。■ 開催趣旨・状況やまなし発見フォーラム■ 開催日/平成25年7月6日(土)■ 開催場所/富士五湖文化ホール

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