国文祭公式記録ウェブブック
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春のステージ-いのち、萌えたつ。-048Yamanashi Kokubunsai 山梨県では、戦国大名武田信玄は今もなお多くの人の思慕の念を集めており、その遺徳を偲ぶ信玄公祭りなどが行われています。「春のステージ やまなし発見フォーラム」は、武田信玄が生きた時代をみつめることを通じて、山梨の歴史を振り返ることを目的に開催しました。 平出亘山梨県副知事の挨拶に続き、「歴ドル」の美甘子さんと小日向えりさんによる、戦国時代の魅力を語るトークショーを行いました。この後、東京大学名誉教授の五味文彦氏による「戦国文化の意義と継承」と題した基調講演を行いました。五味氏は、信虎と信玄が治めた時代を振り返りつつ、武田信玄は、甲州法度之次第といった民政や信玄堤などのインフラ整備、軍事力の強化を図りつつも、禅宗や天台宗の宗教文化を取り入れるとともに、鎌倉時代の寺社の再興を行い、宗教の保護と統制も図ったと述べました。また、武田氏の思想は徳川家康にも受け継がれ、甲斐の人々も信玄を理想とし、近代に入ってからも甲州財閥の根津嘉一郎や小林一三などに引き継がれていると結びました。 基調講演に引き続き、帝京大学文化財研究所所長の萩原三雄氏をコーディネーターとして、信州大学副学長の笹本正治氏、日本大学大学院講師の柴辻俊六氏、山梨県立中央高等学校教諭の平山 優氏、タレントの菊川 怜氏をパネリストに迎え、武田氏の功績を取り上げたパネルディスカッションが行われました。 議論によって、戦国大名の中でも特筆するほど数多くの城を築いたことや、信玄堤を守るために竜王河原宿をつくったこと、金の流通を安定させるために、正確な秤りを制作できる技師を招いて貨幣制度「甲州金」を築いたことなどが分かりました。他にも、肖像画や信玄と謙信の一騎打ちなどについて、分かり易く解説していただきました。最後に、高家武田氏第十六代当主武田邦信氏を交えて、武田氏が残した文化的な遺産について討議していただきました。■ 開催趣旨・状況やまなし発見フォーラム■ 開催日/平成25年4月14日(日)■ 開催場所/東京エレクトロン韮崎文化ホール

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