国文祭公式記録ウェブブック
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冬のステージ-ふるさとの祈り、息づく。-038Yamanashi Kokubunsai 道祖神は古くかつ広く信じられ、地域の人々に支えられた神ですが、山梨県は、長野県・群馬県と並んで特に道祖神信仰が盛んな地域と言えます。また、山梨県内の道祖神祭りは、行事の内容が多様な点も大きな特色とされています。「冬のステージ やまなし発見フォーラム」は、特色溢れる道祖神行事をみつめることを通じて、山梨の文化を再発見することを目的に開催しました。 丹澤博山梨県企画県民部長の挨拶に続き、道祖神祭りに伴う民俗芸能(「黒平能三番」、「甲州台ケ原宿虎頭の舞」)が再演されました。この後、山梨県立博物館館長の平川 南氏による「道祖神信仰のルーツを探る」と題した基調講演を行いました。平川氏は、考古資料や文献資料をたどりながら、はやり病などの侵入を防ぐために賜物を境界に祭った大陸の祭りが道祖神祭りの起源であり、百済に源流があるとの考えを述べました。道祖神信仰の変遷として、最初は悪いものの侵入を防ぐ境界の祭りであったものが、やがて豊作や縁結び、夫婦和合、安産など願望が広がり、中世末から近世末ごろ村落の祭りとなったと述べました。 基調講演に引き続き、国立歴史民俗博物館名誉教授の福田アジオ氏をコーディネーターとして、民俗学者の浅野久枝氏、日本大学国際関係学部教授の高山 茂氏、山梨県立博物館職員の堀内 眞氏、山梨県立博物館学芸員の丸尾依子氏をパネリストに迎え、山梨の道祖神祭りを取り上げたパネルディスカッションが行われました。 火祭りの祭神を道祖神としていること、大人や若者たちが運営の主体となること、広域的に獅子舞を舞うことなどに山梨県の特徴があり、祭りの内容が変化しながら伝えられているとの報告がありました。過疎・高齢化、後継者不足により、祭りが中断・縮小する地域のある中で、身近な信仰に目を向ける必要性も指摘されました。■ 開催趣旨・状況やまなし発見フォーラム■ 開催日/平成25年1月13日(日)■ 開催場所/山梨学院大学 メモリアルホール

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