国文祭公式記録ウェブブック
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冬のステージ-ふるさとの祈り、息づく。-032Yamanashi Kokubunsai 第28回国民文化祭・やまなし2013の開幕前夜に、廃城から140余年の時を経て復元整備された甲府城跡鉄門の前で開幕前夜祭を行いました。甲府城は、豊臣秀吉の命により文禄・慶長年間(1590年代)に築城された城郭ですが、この甲府城の本丸と天守曲輪の境に建てられていたのが鉄門です。鉄門は、築城当初から明治初年の廃城後に取り壊されるまで、創建時の姿を保っていたと考えられます。 甲府城主柳沢吉里は宝永7年(1710)5月5日に入城して以来、14年間、甲斐国を治めました。吉里は入国のお祝いに、甲府城内で自ら能を舞い、誰でも自由に見学させたと伝えられています。この故事にちなみ、前夜祭では開幕前夜を祝う式典と、柳沢吉里が好んだと伝えられる演目「小鍛冶」の公演を行いました。 丹澤博山梨県企画県民部長の挨拶に続き、瀧田武彦山梨県教育長、宮澤由佳企画委員、丹澤部長による鏡割りを行い、樽酒を来場者に振る舞いました。 この後、観世九皐会による薪能を行いました。「小鍛冶」とは、天下を治める剣を打つよう命ぜられた三条の小鍛冶・宗近が、稲荷明神へ参詣に赴いた後、祭壇を築き神に祈りを捧げていると、稲荷の使いである狐が現れ、宗近と共に名刀を打ち上げるという内容のおめでたい演目です。 復元された鉄門を背景に、地謡と囃子が響き渡る中、およそ300年ぶりとなる甲府城内での能公演を行うことができました。 厳冬期での野外イベントにも関わらず、大勢の観覧者が来場し、国民文化祭の開幕前夜を祝した、特別な舞台をお楽しみいただきました。また、本事業により、国民文化祭の開幕をアピールするとともに、鉄門を通して本県の歴史や文化にも触れる機会となりました。開幕前夜祭■ 開催日/平成25年1月11日(金)■ 開催場所/甲府城跡鉄門前■ 開催趣旨・状況■ まとめ

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