国文祭公式記録ウェブブック
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文部科学大臣賞301Yamanashi Kokubunsai【連句】半歌仙「行く春や」の巻行く春や止まりてこそ見ゆるもの 群れてはこべの可憐なる白リビングの炬燵塞げばひろびろと ピアノを復習ふ音は軽やかこともなき二百十日の月の舟 柚味噌のの字に練るが母流 テロと地震がとみに増える世犬の仔は昼夜を舎かず鳴き続け 嫉妬に狂ふ妻の形相雪をんな閨の熱さに溶けてゆき またしても買ふ自販機の酒月光は楠の新樹に波打つて 使用禁止の井戸に蜘蛛の囲逝くときも孤高の三國連太郎  ボール追ひかけ児らは無邪気な両岸の花のざはめき隅田川 ビルの谷間に初虹の脚平成二十五年四月二十四日首尾 於 川嶋邸愛媛県 捌 大月 西女大月 西女荻山 玲幸川嶋 七重西玲七西玲七西玲七西玲七玲七執筆秋遍路会釈にピアス揺れてをりウ山梨県笛吹市立春日居小学校 四年   田辺 栞【現代詩】小学生の部お父さん私のお父さんは、遠くにいる仕事で福島行っちゃったはなればなれはさみしいでも月に一度帰って来るお父さんが帰って来る日は、朝からとても楽しみで学校が終わるのも待ちどおしい。駅にむかえに行くとお父さんが「ただいま」とニコニコ笑顔で私をだっこする。私も「おかえり」とだきつく弟はてれくさそうに「おかえり」と言ったでもとてもとてもうれしそうお父さんが家にいる間弟と私でお父さんの取りあいこいつも私が勝って弟は、泣いているそんな弟を、お父さんがやさしく「つー、おいで」とよんでいる。私も、「しょうがないなぁ」と弟とこうたいしてあげるお父さんが帰る日、とてもさみしい電車に乗るお父さんの背中は泣いているように見えるお父さん「がんばって」と手をふって、お別れする本当は私も、さみしいんだけど…。がまんするんだ次会える日までお父さんガンバレ

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