山道や巡礼路の再整備は、多様で奥深い富士登山の楽しみ方を、再発見するためのプロジェクトなのです。かつて富士講によってにぎわった麓の登山道も、車道整備によって登山者の流れが変わると、活気を失い、その多くが忘れ去られていきました。現在、県や関係市町村による調査が進んでいますが、古道の現状は決して良好とは言えません。例えば、鎌倉時代から信仰の道として用いられたと伝わり、昭和期に乗合バスも走った「船津口登山道」は、現在多くの倒木が行く手をふさぎ、一般の登山者が安全に歩ける状況ではありません。精進湖南岸から青木ケ原樹海を抜ける「精進口登山道」も、標高が上がると路面の浸食や倒木が目立ちます。それでも、歴史ある道をよみが いた中ノ茶屋や大文司屋といったえらせる動きは始まっています。「吉田口登山道」では、休業して由緒ある茶屋が営業を再開し、麓から歩く登山者にとって新たな憩いの場となっています。とはいえ、古の登山道や巡礼路を復興させるには、倒木撤去などハード面の整備だけでは不十分です。麓の駐車場や道中のトイレ、道案内標識といった設備の充実、利用者増加に伴うごみ問題や周辺住民への配慮など、受け入れ体制を整えるにはいくつもの壁があります。富士山麓で薄れつつある「御師文化」の継承も、大きな課題です。現存する御師の家は、減少した富士講に代わって富士山の精神性に関心を持つインバウンド客を受け入れるなど、時代に合わせた新たな存続の形を模索しています。今後に向け、県は古道の調査研究をまとめた報告書のダイジェスト版作成を進めています。また、VRやAR技術を活用して古道を疑似体験する構想も検討されています。富士山の価値は、日本一の標高や、山頂のご来光だけにあるのではありません。麓の森を踏みしめ、かつてここを歩いた人々の信仰の物語に思いをはせながら、雄大な自然と一体になる││そのプロセスにこそ、世界が認めた普遍的価値が息づいています。古の登求められる古道の整備復活する茶屋も多様な富士登山の楽しみ方を皆さんも一緒に再発見しよう絶景ポイントとしてインバウンドに人気の新倉富士浅間神社10信仰文化
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