﹇特集3﹈富士登山規制の新たな取り組みような登山道の復活は、現代の私たちに富士山の持つ文化的・精神的価値を再認識させるものです。中にあります。洞窟は、「溶岩樹型」と呼ばれる稀少な地質現象で、世界でも富士山とハワイ島だけに存在します。 憐か型を作り、その形が女性の胎内に山噴火の際に流出した溶岩流の東端に形成されたものです。いくつもの樹木が重なり合って複雑な樹例えられたことから胎内信仰につながりました。「胎内巡り」を行う富士講信者は「御胎内」を訪れ、洞内を巡って身を清め、その後、富士講の宿坊である御師住宅に戻って翌日の登拝に備えます。この行為は「生まれ変わり」の儀式として大変重要な吉田胎内樹型は10世紀に、富士ものでした。胎内潜りを終えた信者に対して御師はオマクリを振るい、「無事に生まれることができて、おめでとうございます」と声を掛けたといいます。オマクリとは、新生児への初授乳の前に「胎毒おろし」のためにマクリ︵海人草︶などを煎じた飲み物のことです。また、胎内は子安神として安産祈願の場にもなりました。乳房状の岩から滴る水を鉢や紙で受け、それを腰帯や守りとしたのでした。4月29日に行われる吉田胎内祭は、この古くからの胎内信仰が現代にも伝わる貴重なものです。地元の人々によって守られてきた吉田胎内の文化的価値を体験することができます。かつての富士登山は、単なるレジャーではなく、心身を清め生まれ変わる神聖な行為でした。この麓からゆっくりと登る古の道をたどることで、新たな富士山の魅力に触れることができるでしょう。れん 「河口の稚児の舞」は河口浅間神社の祭礼で奉納される少女たちによる神楽です。富士山信仰と関連する太々神楽の神子舞の流れを汲み、近世から現代までの変遷が追える貴重な事例として重要です。この舞は「オイチーサン」と呼ばれる少女たちにより、孫見祭(4月25日)と太々御神楽祭(7月28日)に奉納されます。演目は五番あり、特徴的な衣装と古風な舞振り、独特な足運び、本殿への回廊を巡る動きなどに特色があります。「胎内祭」は、吉田胎内本穴を管理する北口御師団が主催し、毎年4月29日に行われます。普段は一般公開されていない秘められた世界遺産富士山の構成資産・吉田胎内樹形が唯一公開されます。[問い合わせ先]富士山観光振興グループ TEL 055-223-1316 FAX 055-223-1438ふれあい西湖西湖富士山吉田胎内樹型吉田胎内樹型河口湖河口湖ICIC138ICIC山中湖山中湖15vol.852025 SUMMER河口浅間神社 孫見祭稚児の舞オイチーサンが可に舞います
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