一人一人の個性を育み自立した学習を支援する韮崎市立甘利小学校。校舎の窓から雄大な富士山の姿を望むことができる。1年3組の教室では、休み時間に子どもたちが図鑑を開いたり、友達同士ではしゃいだりしていた。授業の開始を告げるチャイムが鳴った。子どもたちは我先にと自席に戻る。日直が「起立・礼・着席」と合図するころには、すっかり落ち着き、教科書や筆箱を揃え、授業の始まりを静かに待つ。2校時は算数の授業だ。担任の内藤好美先生が「これ、わかる人?」と尋ねると、「はい、はい!」と、子どもたちは再び元気いっぱいに手を挙げる。そうして先生に指名された児童は立ち上がり、丁寧に椅子を戻して黒板の前に向かう。その間、クラス中の視線が彼女に集中する。「わたしは、こうだと思います」内藤先生はすぐに答えを言わず、他の児童も指名していく。「違う考えの人はいるかな?」「他の人はどう思う?」代わる代わる、他の子どもたちが発言をする。「私も同じ考えです」「こうすれば、もっといいと思います」︱︱。友達の発言を受け、ノートに答えを書き足す子どももいる。次の問題に移る際、「ぼく、最初から知ってたもん……」最後列の児童がポツリとつぶやいた言葉に対し、内藤先生は「知ってたね」と微笑みかけた。※2月27日時点の情報を基に作成しています(今号の全て) 3現場ルポ
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