ふれあいvol.83
8/24

世界中で脱炭素の動きが進む中、水素エネルギーへの関心が高まっています。燃料として使っても二酸化炭素を発生せず、地球温暖化の元凶ともいわれる化石燃料からの脱却につながるからです。山梨県は、カーボンニュートラルのトップランナーとして、日本をリードし続けてきました。そして2024年、水素をつくる装置の量産工場が県内に新たに建設されることが発表されました。充実した研究環境に「量産」というパーツが加わり、山梨県は、水素先進地としてさらに前進します。新工場は、日本の水素社会実現をけん引するシンボルになるのです。やまなしP2Gシステムが世界に広まり、山梨はグリーン水素の代名詞となります。「水素先進地やまなし」が大きく前進!カナデビア新工場、28年度にも操業へP2Gシステムのナデビア(旧日立造船、本社・大阪市)が、都留市に新しい工場をつくることを発表しました。カナデビアは機械・工場設備のメーカーで、約80億円を投じて新工場を建設し、28年度中の操業を目指すとしています。を電気分解して水素を製造する水電解装置の中核機器で、「水電解スタック」と呼ばれる機器です。カナデビアは都留市の新工場を〝国内マザー工場〟と位置づけ、水電解スタックを量産し、水素製造拠点を国内外に順次展開していく考えです。て実際に工場などで使えるようにするため、全国をリードして研究開発を進めてきました。県が開発した水素製造装置「P2Gシステム」は、サントリー白州工場(北杜市)などで導入の準備が始まっています(P11に詳細)。国内で水素製造装置を手がけるカ新しい工場でつくられるのは、水山梨県はこれまで、水素を製造し産業界の関心も高く、水素の製造・研究開発拠点でもある米倉山(甲府市)の施設には、NTTドコモや東レなど多くの企業が入居し、国内企業や外国からの視察も絶えません。しかし、水素エネルギーは、なかなか普及が進んでいません。従来の燃料より値段が高いことが大きな原因です。量産によって水素をつくる装置の価格が下がれば、水素製造コストの削減につながります。カナデビアの県が開発した水素製造装置「P2Gシステム」にも、同社の機器(スタック)が使われています。スタックが安くつくれるようになれば、P2Gシステム自体のコストも安くなり、山梨発の技術が全国に普及していく可能性が高まります。P2Gシステムが普及すればするほど、水素エネルギーのコストが下がるという好循環が生まれます。この結果、「暮らしの中で水素が使われる」社会が現実のものになるわけです。P2Gの量産工場が都留市にやってくる[問い合わせ先](P2G)新エネルギーシステム推進課 TEL 055-234-5268 FAX 055-267-5318        8特 集2ソーラーで発電P2Gシステム普及を後押し産業

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る