ふれあいvol.83
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の整備コストは、登山鉄道案(約1400億円)より大幅に少なくなるのではないかと見込んでいます。鉄のレールを敷く必要がないコストを大幅削減山」を救うことができるのです。従来の登山鉄道案との違いは、大きく二つあります。まず、コストです。富士トラムことが大きなコスト削減の要因です。運行を始めて以降のメンテナンス費用も、登山鉄道案より大幅に削減できると考えています。コストを減らせるので、延伸のための費用に充てることが可能になります。スバルライン上にレールを敷設する登山鉄道案は工期が長く、富士山観光を数年止めなければいけません。富士トラムの場合、白線や磁気マーカーを敷設する簡単な工事で、環境への影響が少ない上、工事期間も短くて済むので富士山観光を止める必要がありません。これが第二の違いです。 富士トラムという新提案が生まれたのは、県民の皆さんとの密度の濃い議論を重ねてきたからにほかなりません。 県は2021年、県の有識者会議でベストとされた登山鉄道案を皆さんに提示しました。提案当初から「鉄道ありきではない」という考えを説明した上で、「富士山を救うための議論を始めませんか」と呼びかけました。 呼びかけと同時に、県は、23年11月から富士北麓の6市町村で、知事も出席して住民説明会を開催しました。住民の皆さんからは多くの疑問や貴重なアイデアをいただきました。この説明会を受けて、県は登山鉄道案だけでなく、他の交通システムの検討も行ってきました。 新たな交通システムの検討と並行し、24年6月から7月には、県庁の担当職員が北麓地域の皆さんと富士山登山鉄道構想について詳しく知りたい方はこちら意見交換する会を計14回開きました。 11月13日には、長崎知事が約2時間にわたり、富士山登山鉄道構想に反対する3団体の代表者から詳細なお話をうかがいました。団体の代表は「富士山への来訪者コントロールは必要だ」という一方で、「鉄のレールを使う交通手段は工事に伴う自然破壊が心配だ」という意見は共通していました。 皆さんの意見やニーズを集約した結果、富士トラムが従来の案に代わる「最適解」になり得るとの考えに至りました。長崎知事は、鉄のレールではない「富士トラム」に方針転換することを決断し、それを発表する会見でこう述べました。「富士山の新交通システムは山梨県にとって基盤となるシステムなので、できるだけ多くの人に祝福とまで言えなくても、賛同や理解富士トラムの詳細はこちらを得ることが望ましいと考え、政治的判断をしました」 今回の富士トラム案もあくまで一つの提案です。さまざまな考えを持つ皆さんと意見を交わし、多くの方が納得できる交通システムにする必要があります。現在、住民の皆さんへの説明も順次実施しています。 12月定例議会に技術的課題を調査する予算を提出しました。その調査結果を踏まえ、県民の皆さんと議論を進めていきます。 将来予定されるリニア新幹線の開業は、国土の構造に転換をもたらし、産業や住宅の立地選択にも大きな影響を与えます。日本国内における山梨県の存在感を引き上げていくためにも、リニア開業に向けた準備はスピードが必要です。 いち早く、課題解決策を実行していかなければなりません。[問い合わせ先]富士山保全・観光エコシステム推進グループ TEL 055-223-1330 FAX 055-223-1438    7従来案からの方針転換県民の集合知から生まれた

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