ふれあいvol.83
11/24

長崎知事は2024年11月、米国カリフォルニア州を訪ねました。県が富士北麓地域で進める「富士五湖自然首都圏フォーラム」の一行で視察しました。 フォーラムは、水素の活用を重要な柱の一つにしています。水素を活用した新技術やビジネスにチャレンジしたい人が集まって交流し、新たなビジネスモデルをつくり上げてほしいという狙いです。 長崎知事は今回のカリフォルニア訪問で、クリーンな水素の製造や利活用に取り組む「Renewables 100」※1世界最大のグリーン水素製造施設を持つ企業「SGH2」※2の代表と相次いで面談し、山梨県の水素への取り組みを説明しま「サもっと知りたいやまなしin depthもっと知りたいやまなしin depthふれあいントリー天然水 南アルプス白州工場・サントリー白州蒸溜所」(北杜市)で2024年2月、水素製造工場の建設が始まりました。工場内には県が開発した「P2Gシステム」が使われています。 25年度の稼働を目指し、国内で最大規模となる年2200トンの水素を製造する予定です。年間のCO₂削減量は1万6000トンを見込んでいます。 工場内には総延長約2キロに及ぶ水素パイプラインが張り巡らされ、天然水の殺菌などに使われます。 P2Gシステムは小規模にすることもできます。 小規模にすることで、既存の工場に設置し、従来は化石燃料を使っていた設備を水素に切り替えることができるのです。これまでのところ、大成ユーレック(大成建設のグループ会社)の川越工場がコンクリート養生工程に、住友ゴム工業の白河工場がタイヤ製造の工程で、小規模版「P2Gシステム」を導入することが決まっています。 また、化粧品メーカーのコーセーが南アルプス市に新工場を建設することが決まりました。この新工場では、スキンケア製品の製造に使うボイラーの燃料として、米倉山でつくった「グリーン水素」が使われます。すでに着工されており、26年上期中に稼働を始める予定です。 海外への展開も始まりました。 インドでは、自動車メーカー「スズキ」の子会社でP2Gシステムの導入検討が進んでいます。工場内で使う再生可能エネルギーの余った電気でP2Gシステムによって水素をつくる計画です。 インドネシアでは、地熱発電で余った電力をP2Gシステムで水素にする試みが始まっています。 海外でP2Gシステムを展開することで、将来的には水素エネルギーを輸入することにもつなげたいと考えています。山梨県が開発した水素製造装置でできた大量の水素を輸入して、日本全体の脱炭素化を後押しすることも実現できるかもしれません。した。 その結果、この2つの団体・企業と「富士五湖自然首都圏フォーラム構想」とが相互協力していくための基本合意の締結に至りました。 また、帰国後、25年2月にカリフォルニア州で開かれる気候変動対策の国際会議で、長崎知事を基調講演のスピーカーとして招待するという書状が届きました。 カリフォルニア州は州単独でもG8諸国と肩を並べる州の総生産があります。こうした経済先進地域からも、山梨県の水素社会の実現に向けた取り組みは注目されています。※1 Renewables 100:アメリカで水素エネルギーの普及を推進する官民合同組織「ARCHES」(再生可能クリーン水素エネルギーシステム連合)の中核組織。2007年設立。 ※2 SGH2:カリフォルニア州ランカスター市と連携し、年3,800トンのグリーン水素を製造している。米倉山に設置されているP2Gシステム。大工場内に新設する大型のタイプと、それほど大きくない工場に後付けできる小規模パッケージもある[問い合わせ先]富士五湖自然首都圏推進グループ TEL 055-223-1387 FAX 055-223-1320TOPICSTOPICS11vol.832025 WINTER山梨発のP2Gシステム県内でも、海外でも米カリフォルニア州も注目!知事に国際会議への招待状が2233

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る