ふれあいvol76
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 衝撃的な数字がある。 致死処分された猫のうち92・9%は子猫だった。これは2019年度の山梨県内でのデータだ。 子猫の命をつなぐため、県は20年度から「飼い主のいない猫の不妊・去勢生後間もない保護猫を預かり一時的に育てる「ミルクボランティア」小さな命を未来へつなぐ取り組みの現状をやまなし in depthからダイジェスト版でお届けします。手術費補助」と「ミルクボランティア事業」を始めた。以後、子猫の致死処分数は激減している。る社会を実現するため、致死処分の多くを占める飼い主のいない猫対策に取り組んでいる。施策を所管する衛生薬務課によると、19年度の犬猫の致死処分数は224匹で、うち208匹が飼い主のいない猫から生まれた子猫だった。子猫の致死処分を減らすには、飼い主のいない猫の無秩序な繁殖を抑えるとともに、県の動物愛護指導センター(以下、センター)へ収容した子猫に新たな飼い主を見つけることが効果的だ。るためのものだ。 猫の不妊・去勢手術費補助金は、手術費用を助成する市町村への補助制度で、当初は対象を飼い主のいない猫に限定し、補助額の上限も1匹当たり5000円としていた。だが、22年度は、飼い主の有無を問わず、補助額の上限を不妊1万5000円・去勢1万円に拡充し、全ての市町村と連携して致死処分の劇的な減少を目指している。 また、ミルクボランティア事業は、センターに収容した離乳前の子猫を数カ月間育てるボランティアを募集し、譲渡につなげる事業で、飼育に必要なミルクやペットシーツなどの物品は県が支給する。 離乳前の子猫は、数時間おきに授乳したり、排便や排尿を促したりしなければ生きられず、センターの職員による対応にも限界があるため、ミルクボランティアの協力が必要不可欠だ。 センターで創設時からこの事業に携わっている、リーダーの池永由梨子さんは、事業開始当時のことを「何しろ初めての試みで軌道に乗るまでが大変でした」と振り返る。 「センターでは、ミルクボランティアさんとの調整や必要な物品の支給、預託中の健康相談などを行っています。一番大変だったのがこの事業を知ってもらうための周知活動です。市町村の広報誌やセンターのホームページ、県のツイッターなども活用しました」 SNSなどで事業の認知拡大を図ったことで共感は広がった。20年度にセンターに収容された子猫のうち93匹がミルクボランティアに預託され、途中で死んでしまった子猫を除いた87匹が新しい飼い主に渡った。 なぜ「ミルクボランティア」を募ったのか。センター所長の浅山光一さんは、こう語る。 「01年の設立当初、センターは主に犬や猫の致死処分を行う施設でした。以後、犬の致死処分数は激減し、譲渡する割合も増えましたが、子猫の致死処分がなかなか減らなかったんです。当人と動物が調和し「ミルクボランティア」が救う小さな命子猫の成長見守りたい 20ミルクボランティアの下で成長した子猫人と動物の共生社会実現に取り組む県衛生薬務課の職員20年度に始めた事業は、それを実現す  共山生梨す県るは、社人会との動実物現が調和し共生すやまなし in depthフルバージョンはこちらから

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