ふれあいvol.66
9/20

デリバリーを、平常時の「経済モード」から事業形態に組み込み、パンデミックが襲来したときには、これらを「安全モード」の事業形態として営業を続けていくことなどが挙げられます。 現在、山梨県が進めている、感染症に対して強靱な社会や経済を目指す「やまなしグリーン・ゾーン構想」も、この「デュアルモード社会」の考えと軌を一にしています。 今回のコロナ危機の深刻な経験から、世界中で大都市への一極集中が問題となり、日本でも首都機能の分散が現実的な課題となっています。 従って、これからは、パンデミックや大震災に備え、首都圏の企業・官公庁の機能や個人の生活・仕事の拠点が豊かな自然を持つ地方に移っていく動きが加速していくでしょう。 このコロナ危機で人々の接触や移動が制限されたことにより、テレワークやテレビ会議、在宅勤務などの新しい働き方が急速に広がりました。その結果、満員電車で東京のオフィスに毎日出勤しなくとも、自然豊かな地域で快適な生活をしながら、オンラインで仕事をし、必要なときに東京へ行くというスタイルが可能であることが広く理解されたのです。 私は、東京に近く豊かな自然に恵まれた山梨は、首都機能と自然環境が融合した「自然首都圏」になることができ、今後、東京から多くの人が生活と仕事の拠点を移してくると考えています。そのためには、山梨が全国に先駆けてグリーン・ゾーン認証や山梨版CDC(疫病対策管理センター)で「超感染症社会」を実現し、同時に、教育、医療、介護などの環境も「デュアルモード社会」に適合した先進的なものにしていく必要があります。 ただ、残念ながら、山梨はこれほど豊かな自然に恵まれながらも、その自然を維持し、景観を大切にしていこうという意識が薄いと感じることがあります。「観光立県」という言葉の一方で、道路脇のゴミや森林の過剰な伐採などが目につきます。「自然首都圏構想研究会」では、そのことも提言していくつもりです。 危機の時こそ、変革の絶好機です。コロナ危機は、地方分権の必要性を強く教えています。いまこそ、山梨が全国に先駆け、新たな地方創生のモデルを示していくときでしょう。コロナ危機後のニューノーマル 「デュアルモード社会」感染抑制と経済活動を長期的に両立-状況に応じて切り替え可能な2つのモードを備えた社会システム-首都機能と自然環境が融合した「自然首都圏」を創る最適の地域店舗での飲食通院・診察通学・講義出社・勤務経済効率重視経済モード(平常時)デリバリー・テイクアウトオンライン診療オンライン授業テレワーク・テレビ会議健康・安全重視安全モード(緊急時)緊急時には速やかに移行平常時から組み込み運営きょうじん9新型コロナウイルス感染症に県民一丸となって立ち向かう

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る