ふれあい特集号vol.64
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 子育てをしながら県内の雑誌社で働いていた堀内麻実さん。責任の重い立場になるに従って、家庭に掛けられる時間が減ってくると「好きで続けてきた仕事だからこそ、仕事と家庭の両方をより充実させたい」と感じるようになったそうです。「小さくてもいいから、家庭のある女性にとって働きやすい環境を自分でつくろう」と思い、平成30年、女性だけでチラシや冊子のデザイン編集を行う「anlib(アンリヴ)株式会社」を設立しました。 東日本大震災で被災した方への取材や、障害のあるお子さんを持つ母親と話をする機会を通して「年齢や性別、その人の背景や、障害の有無などに関わらず、日常の暮らしを発信したい。それがお互いを認め合い、自立した一人として生活していける社会づくりのきっかけになるかもしれない」と思い、昨年5月、福祉の視点から山梨を伝えるフリーマガジン「anko(あんこ)」を創刊しました。 これまでの雑誌編集のノウハウに加え、ユニバーサルデザインコーディネーターの資格を取得し、手に取りやすく分かりやすい誌面づくりを心掛けているという麻実さん。「車いすの利用者がモデルになって参加する『車いす!で山梨を巡る!』のコーナーは、普段なかなか足を運べない場所を聞いて、一緒に企画し、一日かけて取材しています。段差やトイレなど、車いすで生活している人の視点で気付く不便さなどは勉強になります。取材後に、車いすのレンタルを始めたり、バリアフリーの修繕を行ったりした施設もあり、自分たちの活動が共生社会の実現につながっていると実感しています。取材をしていくと、どの人もいろいろな背景があり、それぞれ多様な日常があることが分かりました。当事者でないと知ることができない暮らしを、読者が身近に感じられるように紹介し、橋渡しの役割を果たしたいですね」とankoの制作について語ります。 昨年12月、年齢や障害の有無などを越えた方々が集まり、交流を深めるためのイベントを初めて開催しました。「今後もankoの発行や、イベントの開催を通じて、福祉のネットワークを広げたいですし、また、福祉とデザインの連動の可能性を感じているので、障害のある方の雇用につながる活動も考えていきたいです。自分たちの活動が未来を担う子どもたちにとってお互いを認め合いながら、自信を持って生活ができるような社会になるよう、努力していきたいです」と語る麻実さん。その表情は希望に満ちていました。女性が働きやすい環境を求めデザイン会社を設立一瞬を大切にきらめく やまなしのシュン!anlib株式会社 甲府市貢川本町13-27 hana B info@anlib.co.jpankoは年2回発行。設置先はお問い合わせください連載「車いす!で山梨を巡る!」は、地域の情報だけでなく、モデルの背景や好きなものを伝える、参加型の企画ankoを通して伝えたい共生社会への思いふれあい19事務所はカジュアルで居心地の良い雰囲気を大切にしている。車いすの人も気軽に入れるよう、可動式のスロープを準備ankoの初イベント「Osajiでankoを食べる日」の様子。メモを取りながら参加者の声に耳を傾ける麻実さん。問い合わせが多く、反響の多さを実感している

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