ふれあい特集号vol.62
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15ふれあいパラリンピックへの情熱パラクライミングで世界の頂点を目指す 生まれつき左手に軽度のまひがある吉田桃子さんは、平成28年に趣味でクライミングを始めました。その楽しさに魅了され、パラクライミングという競技を始めてからは、世界を舞台に活躍する選手となり、昨年に引き続き今年の世界選手権でも準優勝に輝きました。主に富士吉田市にあるクライミングジムを拠点に練習に励み、世界の頂点を目指しています。 「クライミングは筋力が必要と思われがちですが、実は頭を使うことが大事なスポーツです。障害があるので、技術が身に付くまで失敗の回数は多いですが、その分得るものがたくさんあります。自分の持つ力でどう解決できるか、考える幅を広げるのが醍醐味です。 私は会社からのサポートを受け、クライミングジムのスタッフや仲間たちに支えられて、練習や競技に打ち込むことができています。パラクライミングの国内での認知度は低いので、私が積極的に健常者の大会に出場することで、同じ境遇の人たちに競技を知ってもらいたいと考えています。そして、いずれはパラリンピックの正式種目に採用されることを願って、競技の普及にも努めていきたいです」と熱い思いを語ってくれました。パラクライミング競技は、制限時間内にどこまで高く登れるかを競う。「競技と出合い、自分と同じ境遇の選手たちが登る姿に触発され、技術を高めたくて没頭したんですよ」と吉田さん「パラリンピックの正式種目であるボッチャは重度障害者でも取り組みやすいんですよ」と用具を手に競技の魅力を語る奈良さん吉田 桃子さんパラクライマー【問い合わせ先】 スポーツ健康課 TEL 055-223-1784 FAX 055-223-1786 障害福祉課 TEL 055-223-1461 FAX 055-223-1485 スポーツは健康維持・増進や精神面の強化、また生きがいや楽しみの発見のためにも欠かせません。県内には、障害のある人がスポーツを気軽に始められるよう支援する、障害者スポーツ指導員がいます。山梨県障害者スポーツ協会の会長で、指導員を務める奈良さんは、障害者スポーツの普及を進めています。 「山梨県には現在、障害者スポーツ指導員が初級、中級を合わせて約130人います。県内における障害者スポーツ大会の開催や国体への引率のほか、施設を訪問して各種スポーツを障害者に体験してもらうなど、障害者スポーツの裾野を広げる活動にも力を入れています。近年では指導員初級を取得する大学生も増えていることから、指導員向けのフォローアップも行いながら、多くの障害者が生涯、スポーツを楽しめる環境をつくっていきたいと考えています。県内でも車いすバスケ、水泳、卓球、陸会長 奈良 妙子さん山梨県障害者スポーツ協会上競技など、さまざまな種目で頑張っている人たちがいます。スポーツを通して社会と関わり、皆さんが生き生きと自立していく姿に、私も力を与えてもらっている日々です。 しかし障害者がスポーツをする環境が整っていないなど、障害者スポーツの普及には多くの課題があります。県民の皆さんにはもっと障害者スポーツを観戦するなど、興味を持ってほしいです。私たち指導員も一人一人に寄り添いながら、スポーツの素晴らしさを広めていきます」と優しく話してくれました。全国障害者スポーツ大会で山梨県選手団を引率する奈良さんだい ご み障害者のスポーツへの意欲を支える

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