ふれあい特集号vol60(デジタルブック版)
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10歴史ある郷土食を継承する素晴らしい山梨の食文化 山梨の食の特徴としては、「ほうとう」に代表される粉食の文化が挙げられます。ほうとうは中国の「餺飥」を起源として、日本には奈良〜平安時代に伝わったといわれています。平安時代の貴族の日記や随筆などにもたびたび登場していて、当時は高貴な人たちが「ハレの日」に食べる特別な食べ物だったようです。また、今のようなみそ仕立てになったのは17〜18世紀ごろからで、それ以前は小豆の汁の中に入れて食べられていたようです。ほうとうに似た食 本県には特色ある郷土食をはじめ、魅力的な食文化がありますが、若い世代の皆さんが郷土食に接する機会が減少しています。そこで県では、郷土食の魅力を改めて認識してもらい、次世代へ継承し、さらに地域の活性化や観光振興につなげていくため、さまざまな取り組みを行っています。 知って、伝えて、広めよう「やまなしの食」はくたく中山 誠二さん「やまなしの食」育み会議 座長(南アルプス市ふるさと文化伝承館 館長)Soul Food「うまいもんだよ カボチャのほうとう」といわれ、誰もが知る山梨県の代表的な郷土食。武田信玄公が考案した陣中食であったという説もあるが、文献上は江戸時代以降に多く登場する。峡南地域では「のし入れ」「のし込み」とも呼ばれている。小さなジャガイモをみそで甘辛く煮詰めたもの。江戸時代、飢饉の際に、代官の中井清太夫がジャガイモ栽培を広め窮地を乗り切ったことから、人々が感謝を込めてジャガイモを「せいだ」と呼ぶようになったのが名前の由来。富士川町十谷の集落に伝えられてきた。小麦粉を練って薄く延ばして約3cmの正方形に切り、それを農作業で使う「箕」の形にして、野菜と一緒にみそ仕立ての汁で煮る。形が人の耳に似ていることから「みみ」と呼ばれるようになったという説もある。鶏の砂肝、ハツ、レバーなどを甘辛く濃厚なしょうゆダレで照り煮したもの。甲府市内のそば店が考案し、広まっていった。「B-1グランプリ」でゴールドグランプリを獲得したことから、今では全国に認知される山梨の名物となった。「ほうとう」(県内全域)「せいだのたまじ」(上野原市)「鳥もつ煮」(甲府市)「みみ」(富士川町)き きんせい だ ゆうみ

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