ふれあい特集号vol.58(デジタルブック版)
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「育水」から始まる「水」のブランド化09ふれあい 育水に関わる研究の情報共有や連携、長期的視点に立った水資源の保全と有効活用などについて検討する「やまなし育水研究会議」の委員である、山梨県富士山科学研究所・研究管理幹の内山高さんに山梨の水の魅力についてお話を伺いました。「天に選ばれし、名水の地。山梨。」と誇れる、そのわけ内山 高 研究管理幹山梨県富士山科学研究所  山梨の水が名水と言われるわけは、まず豊かな自然環境が残されていて、植林された森には人の手が入り適切に整備されるなど、水源の森がしっかりと守られていることが挙げられます。さらに山梨にはさまざまな種類の岩石があり、その岩石に水が染み込み、時を経て湧き出てくることで、それぞれ異なる特徴を持つ水が生まれていることです。岩石の種類は大きく分けると三つです。一つ目は甲斐駒ケ岳や昇仙峡などの花こう岩、二つ目は富士山、八ケ岳、茅ケ岳などの火山に由来する岩石、三つ目は南アルプスなどの堆積岩です。花こう岩にはミネラル分が多く、堆積岩には温泉の成分が入っています。一方、同じ火山であっても八ケ岳の水は安山岩という溶岩層を通るため適度なミネラル分を含み、富士山は玄武岩という溶岩層を通ることからバナジウムを豊富に含みます。このように多様な特徴を持った水があることは全国でもまれなことで、山梨が名水の地として、誇れる理由です。さまざまな特徴を有する山梨の水清らかで豊富な水をたたえる天然の水がめ 山梨は晴天率が高く、雨はそれほど多くありませんが、周囲を山に囲まれ森林面積が広いため、山に降る雨や雪が十分に蓄えられているのです。さらに水田があることで地下水が保たれ、水がうまく循環しているのです。山梨がミネラルウオーター生産量日本一であるのは、量の豊富さと採水※選定された名水は、飲用に適することを 保証するものではありません。※名水百選とは… 環境省が全国にある清澄な水について、 その環境保全の推進などを目的に選定しやすい立地条件や大消費地である東京などへの輸送の利便性、さらに自然公園が多く採水地より上に位置する地域の開発が制限されることなどから環境が守られ、きれいな水が採れることが大きな理由です。  私たち県民は普段からこの名水をさまざまな場面で活用しています。自分の周りにある水の魅力を再認識していくことで、山梨の素晴らしい水がこれからも育まれていくことにつながっていくと思います。山梨県の「名水百選」と「平成の名水百選」出典:一般社団法人 日本ミネラルウオーター協会ミネラルウオーター生産量(平成29年)[平成の名水百選]金峰山・瑞牆山源流[名水百選]八ケ岳南麓 高原湧水群[名水百選]白州・尾白川[名水百選]忍野八海[平成の名水百選]御岳昇仙峡韮崎中央本線小海線下部温泉身延線甲府塩山大月河口湖上野原山梨市小淵沢清里[平成の名水百選]西沢渓谷[平成の名水百選]十日市場・夏狩湧水群甲斐駒ケ岳八ケ岳富士山県内の7カ所が名水の産地として選出されている。この数は、全国で3番目に多い。富士急行線山梨43.8%全国生産量3,254,788㎘静岡16.9%鳥取10.6%その他28.7%

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