ふれあい特集号vol.58(デジタルブック版)
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 甲府地区消防本部に勤務する女性消防吏員・長田篤美さん。「学生時代に、困っている人を助ける仕事に就きたいという気持ちが強かったことが、消防吏員を志すきっかけになったんです」とにこやかに話します。小柄できゃしゃな印象の篤美さんですが、消防学校での訓練を経て最初に配属されたのは中央署警防係。男性消防吏員と同じく24時間体制で、火災現場での消火活動や傷病者の搬送に当たったといいます。 「消防吏員は性別に関係なく業務に就くのですが、体力の差だけはどうにもなりません。迷惑を掛けていると感じて悩むこともありましたが、傷病者が女性の場合には、女性消防吏員の必要性を感じています」と篤美さん。また、業務に従事する中で強く思ったのが、過酷な状況下で人を助けるためには、自分が倒れてはいけないということ。体調管理はもちろん、体力トレーニングも積極的に行い、出動に備えていたといいます。 現在、火災予防に関する業務を行う予防課に所属している篤美さん。特に力を入れているのが、住宅用火災警報器の設置促進です。「消防法の改正により、平成18年6月から火災警報器の設置が義務付けられました。義務化以降に新築された住宅には設置されているのですが、既存住宅では未設置の場合も多いので、戸別に訪問し、設置を呼び掛けています。お年寄りにはできるだけ優しい口調でゆっくり分かりやすく話すなど、女性ならではの細やかな説明も心掛けるようにしています。また、訪問先で『鍋に火をつけたままにしてしまい、火災警報器に助けられたよ。火事にならなくて本当に良かった』といった話を聞くこともあります。こうした会話から、火災予防の大切さを改めて実感し、仕事にやりがいを感じています」と話します。 「山梨県内で活躍する女性消防吏員は現在14名です。職場には、女性専用の仮眠室やシャワールームの整備、マタニティー執務服の導入など、女性が働きやすい環境が整ってきています。これからも火災を減らし、安全・安心な地域づくりに貢献し、後に続く女性消防吏員の手本になれるよう頑張ります」と力強く語ってくれました。「困っている人を助けたい」熱い思いで志した消防吏員女性ならではの心配りで安全・安心な地域を目指す一瞬を大切にきらめく やまなしのシュン!甲府地区消防本部2階にある予防課では、住宅用火災警報器に関する相談も受けている「甲府地区消防本部の管轄は、甲府市、甲斐市(旧双葉町を除く)、中央市、昭和町と広範囲にわたります」と説明する篤美さん「マンションや商業施設などの大型物件やガソリンスタンドなどの危険物施設が、消防法に適合しているか確認するのも予防課の大切な仕事です。また、新築・改築工事の事前相談、書類審査、立ち入り検査などにも、常に丁寧な対応を心掛けています」甲府地区消防本部 予防課甲府市伊勢3-8-23 TEL 055-222-1291ふれあい17

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