ふれあい特集号vol.58(デジタルブック版)
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  10 県では県内の高校、大学、NPOなどが行う山梨の水に関する多様な研究に助成し、その成果を育水、水の価値や魅力の発見につなげるための取り組み「やまなし「水」ラボプロジェクト」を実施しています。今年度採択された7団体の中から、山梨英和高校と未来計画研究社(山梨大学地域未来創造センター内)の研究内容を紹介します。 今年度より「天に選ばれし、名水の地。山梨。」プロジェクト事業を開始しました。県の取り組みに賛同していただいた企業と連携し、民間資金を活用して水ブランド発信事業を展開するなど、事業を通して山梨県全体で「水は山梨の強み」であるとの意識を高め、水のブランド化につなげることを目的としています。今年度定めた「育水の日」もその一環で、育水を広く浸透させるため「水」をテーマとした原川 理 主査森林環境総務課イベントを企業と一緒に開催しています。また、昨年度には、水の恵みを動画でPRする取り組みも実施し、国内外に広く発信しているところです。さらに学生など一般の方々の柔軟な視点から、新しい水の魅力に光を当てた研究を募集する「やまなし「水」ラボプロジェクト」も今年で2年目を迎え、若い世代の皆さんの水への関心も深まってきています。 今、山梨では水ブランド確立に向けて地域の自治体と企業の連携が生まれてきているので、この機運を県としてもサポートし、さらに盛り上げていきたいと考えています。県民の皆さんも武田信玄や果物などと並ぶ山梨のスターの一つに「水」があることを自慢してほしいと思います。「水」のブランド化から広がる可能性清涼な水環境を好むミズダニ類の県内分布状況を研究 スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている山梨英和高校は、さまざまな課題研究に取り組む中で、これまでも指標動物としてササラダニ類を用いて県内の土壌の環境調査を継続的に行ってきました。そのような中、生物が好きな一人の生徒がダニは水の中にもいて、色もきれいで「水の中の宝石」ともいわれていることに興味を持ったことから今回の研究が始まり、現在2年生4名で活動しています。人間に害を及ぼすことのないミズダニは、河川や地下水、湖沼、海などのきれいな水域に生息するため、どれくらい、どのような種類がいるかを観察・調査することで、ミズダニが水質の新たな指標動物に成り得ると考え、県内の河川での採取に取り組んでいます。 これまで県内35カ所で採水を実施し、15属105頭の採取に成功。今後は調査数を増やし、さらに精度を上げ、県内の大学などとの連携を図りながら研究を深め、県民の皆さんに水環境に興味をもってもらい、水ブランドの新しい可能性を広めていくことを目指していきます。やまなし「水」ラボプロジェクト│山梨英和高校│「水ラボプロジェクトの助成を受けたことで、活動の幅がさらに広がり、山梨の水に関わる環境保全にもつながる発見が期待できます。そして、きれいな水にすむミズダニのかわいさもPRしていきたい」と話す、生徒たちと顧問の山本紘治教諭県民、行政、企業の連携による「水」ブランドの確立ミズダニの種類の一つヒラタダニ 豊かできれいな山梨の水を生かして、本県のイメージアップをはじめ、地域経済の活性化や地域産業の振興を図るため、県民、行政、企業が連携し、「育水」という考え方を基本として、「水」ブランドの向上を目指しています。

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