ふれあい特集号vol.57(デジタルブック版)
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 御師の家をリノベーションし、ゲストハウス&カフェを経営する大鴈丸奈津子さん。米国での大学時代、ルームメイトに触発されて環境にも体にも優しい食事やお菓子に興味を持ち、卒業後に訪れたコスタリカで月の満ち欠けによって、種まきや収穫の時期などを決めていく農法体験をしたことで「畑をライフワークに」との思いを抱くようになったといいます。 帰国後、鳴沢村の有機農業を実践するゲストハウスで働いていたときに出会ったのが、約400年前から続く御師の家「大鴈丸」の18代目であるご主人の一志さんでした。出会ったときは、長い歴史を持つ御師の家の人で、木工職人をしているとは聞いていましたが、古くからある屋敷が残されていたり、その中がどのような雰囲気なのか、など詳しいことは知らなかったといいます。 「その後主人が私に、幼いときの御師の家の様子や歴史あるこの屋敷を残していきたいという気持ちを一生懸命に話してくれたことで、次第に主人の御師の家に対する思いに共感するようになり、私もこの屋敷を残して、私なりの方法で御師の文化を伝えていきたいと思うようになりました」と奈津子さん。 「大鴈丸」は、一志さんの曽祖父の代で御師を廃業。屋敷の解体も検討したそうですが、「私たちは、誰でも気軽に立ち寄り交流ができて御師の文化も知ってもらえる、『現代版御師の家』として再生したいと考えました。そして思い付いたのが、私たちの個性を生かせる、ゲストハウスとカフェ、そして木工ショールームを組み合わせるというスタイルでした」と奈津子さん。その後、自分たちの手で屋敷を改築し、2016年9月、ゲストハウス&カフェ「hitsuki」をオープンしました。 「せっかくの富士登山なのに、ただ頂上を目指すだけではもったいない。御師を知ることで見方が変わるし楽しみ方も増えると思うので、もっとゆっくり富士山の魅力を満喫してほしい。私自身も信仰の歴史や御師の文化をもっと広めていきたいですね」と、奈津子さん。 御師の家に宿泊し、歴史や文化に触れてもらった後で、富士山頂を目指す1泊2日のツアー企画なども今後提案していきたいと、意気込みを語ってくれました。嫁いだのは、約400年続く御師の家よみがえった御師の家で感じてほしい富士山の魅力一瞬を大切にきらめく やまなしのシュン!御師のいえ 大鴈丸検索カフェでは、主に体に優しい飲み物や、奈津子さん手作りのケーキなどを提供木工ショールームとしての顔も持つカフェ。温かみのあるテーブルや椅子、建具など、ほとんどがご主人の一志さんの作品ゲストハウスの宿泊スペースは10畳間が2室、8畳間が2室、6畳間の個室が1室。ふすまを開放してイベントを開催することも。部屋には、「大鴈丸」に伝わる、よろいなどが展示されている「子どもが小さいのでいろいろと手が回らないのですが、口コミやSNSを通じて国内外からお客さんが来てくれます。それに日曜日と月曜日に営業しているカフェにも、観光客や地域の方がぶらりと立ち寄って、お茶を楽しんでくれます。とてもうれしいし、ありがたいと思っています」おお がん まるゲストハウス&カフェ 「hitsuki」富士吉田市上吉田7-12-16 TEL 080-1525-9515ふれあい17

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