ふれあい特集号vol.52(デジタルブック版)
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正確な試験結果を得るため、キノコを栽培するための瓶を釜で加熱し、雑菌を取り除く森林資源の研究で広がる地域活性化の可能性14 山梨の産業の活性化や県民生活の向上を目指す試験研究機関の紹介森林総合研究所森林研究部 生産科戸沢 一宏主任研究員  当研究所は、山梨県の森林・林業・木材に関する研究を目的に、全国で3番目の県立林業試験場として昭和10年に、富士吉田市に設立された、長い歴史を持つ試験研究機関です。 平成6年に富士川町の現在の地に移転し、名称も「山梨県森林総合研究所」と改め、現在は、生産科、環境科、資源利用科の3科で、森林の育成、希少植物の保全、自然環境の保護、獣害対策、木材等の利用など、森林が持つ多様な機能の保全や、新たな利用などについて試験研究に取り組んでいます。また、研修・普及科では、研修や指導を通して研究成果の普及や林業技術者の養成を行っています。 私が所属する「生産科」では、森林の育成や、キノコ、山菜、薬用植物をはじめとした特用林産物の試験研究を通し、地域の活性化につながる、森林を活用した新しい事業を創出するための研究に取り組んでいます。特に、キノコの収穫量が少ない夏場に生産者の収入増につなげようと、平成23年から、温暖な気候でも収穫ができる「クロアワビタケ」に着目し、品種改良を行いました。その結果、気温が高い時期に長期間収穫が可能な新品種を開発するとともに、栽培法を確立しました。 現在は、県と生産者などによる生産 森林総合研究所vol.❶森林総合研究所は、森林資源であるキノコ「クロアワビタケ」の新品種の開発や、薬用植物の産地化を目指す取り組みを行っています。森林の保全と資源の利用を図る試験研究クロアワビタケの新品種開発と栽培法の確立

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