ふれあい特集号vol.51(デジタルブック版)
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03ふれあい山梨の未来をひらく 人づくり 「好きな学校の教科は国語でしたが、算数など他の教科で困った記憶はありません。それは国語力が私を守ってくれたから。文章を読んで分かるという読解力は、全ての教科に応用できます。本を読むことで得た国語力は、私にとって何かを理解するための根っこになってくれたように思います。それに、読書は人生を豊かにするための貯金のようなものです。本を読むという時間の使い方を知っているかいないかで、将来的な時間の過ごし方も変わってくるのではないでしょうか。読書が苦手という方もいると思いますが遊び感覚でいいので興味を持った本をまずは一冊読んでみてください。そうすることで、読み終えた時の楽しさと達成感がきっと味わえるはずです」国語力は、理解力の根っこになります 6年1組の教室で教壇に立つ辻村さんの話に、児童たちは夢中で耳を傾けていました。そんな児童たちに辻村さんは、自身が小説家になるまでのエピソードや夢をかなえるためのアドバイスをしました。 「小説家になりたいと思ったのは、小学校3年生の時です。当時、交換日記がはやっていて、その中で私はホラー小説を書きました。決して上手に書けたわけではないですが、一つの小説を完成させることができた。最後までやり遂げたことが、自信につながるものです。小説家は特別な仕事と思うかもしれませんが、実は小学生の時の原稿用紙一枚を埋めるという作業が、今の仕事につながっているんです。皆さんも興味があることが見つかったら、まずそれに向かって何か始めてみることが大切です。やってみたいことはいつか急にかなうものではなく、学校の勉強や読書、自分が今やっているさまざまなことがこの先につながって実現していくものだ、というふうに思ってもらえたらうれしいです」最後までやり遂げる気持ちが、未来につながる「小説家は特別な職業ではなく、みんなと同じこの教室で勉強していた読書好きの一人の人間がなったもの…。そんな実感みたいなものが皆さんに伝わったら、うれしいですね。懐かしい教室ですてきな時間を過ごさせていただきました」と笑顔で語る辻村さん1980年笛吹市生まれ。幼い頃から本が大好きで、石和東小学校3年生の時に初めて小説を書く。千葉大学教育学部卒業後、山梨県内で働きながら小説を書き、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、作家デビュー。2012年には『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞受賞。動画で見てみよう! 辻村深月さんのインタビュー❶スマートフォンまたはタブレットに「Layar」のARアプリをダウンロード(無料)❷アプリを起動❸右の写真にかざした後、タップすると動画が再生されます。Layar(レイヤー)作家辻村深月さんMizuki Tsujimura本を読もう!

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