ふれあい特集号vol.41(デジタルブック版)
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09ふれあい思っていました。ただ、幸せなことに、祖母の最後のエッセーには、私のことも書かれていまして、祖母の人生の最後に確かに私が居たんだと思えることが救いというか支えになっています。知事 そのエッセーを読ませてもらったのですが、実に平明な言葉でありながら、そこはかとなく赤ん坊への愛情が感じられて、とても良い文章だと思いました。自分の思ったことを素直に書いておられるようですが、おばあさまは、翻訳だけでなく、ああいった随筆も残されている。さらに歌人でもあり、ラジオのパーソナリティーもされていたということで、実にマルチな、精力的な方だったのですね。来春オープンの「山梨近代人物館」でも花子の業績や人となりを紹介村岡 祖母は、とても出会いに恵まれた人だったと思いますね。師に恵まれ、友に恵まれ、作品に恵まれた。そして、それを引き寄せる力があった。知事 恵理さん、そしてお姉さまの美枝さんも、文筆や翻訳の仕事だけでなく、カナダとの交流や東日本大震災で被災した子どもたちを救う基金の呼び掛けなど、実に幅広く精力的に活動されておられる。こうやってお話していても、前向きで明るくて、きっとおばあさまの血が受け継がれているんでしょうね。知事 子どもたちに、自分の郷里に素晴らしい先輩方がいたことを知ってもらい、理想と目標を持って、人生の最後まで前向きに生きてほしいと思い、来春、「山梨近代人物館」をオープンすることになりました。明治以降、いろいろな分野で日本の礎になった山梨出身の50人を紹介するのですが、村岡花子さんもその一人として紹介させていただきます。村岡 わぁ、うれしい! ぜひ協力させてください。甲府は祖母の生まれた地ですし、母方のルーツでもあり、私たちにとっても特別な場所。今のお話もそうなのですが、今回のドラマをきっかけに新しいご縁がこうしてつながっていくことを、とても幸せに思います。知事 県としても、このご縁を大切にさせていただきたいと思っています。今日はありがとうございました。作家。1967年、村岡花子の娘(血縁上は姪に当たる)みどりの次女として東京に生まれる。東洋英和女学院高等部、成城大学文芸学部卒業。祖母・村岡花子の書斎を「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」として保存し、著作物や蔵書、資料を、翻訳家の姉・村岡美枝と共に研究している。また、『赤毛のアン』の著者・L.M.モンゴメリの子孫や、プリンス・エドワード島州政府と交流を続け、日本とカナダの友好関係促進にも努めている。近著に、『花子とアンへの道―本が好き、仕事が好き、ひとが好き』(新潮社)など村岡 恵理さん 村岡花子の波乱万丈の生涯と、『赤毛のアン』の誕生秘話を描いた、心温まる評伝。NHK連続テレビ小説「花子とアン」の原案。マガジンハウス、新潮文庫から刊行。

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