ふれあい特集号vol.36(デジタルブック版)
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技と心が作り出す鯉のぼり 桜の花がほころび始める春。南アルプス市の井上染物店では、端午の節句に向けて鯉のぼりや武者のぼりの制作がピークを迎えます。昔ながらの作業場では、七代目の井上展弘さんが細やかなはけ使いで勇壮な武者を色鮮やかに染めていきます。 富士川舟運が開かれ、南アルプス市周辺が駿河と信州を結ぶ駿信往還の要として栄えた江戸時代の末期に創業した井上染物店は、160年以上にわたり、染物技術を守り続けている老舗です。伝統の技法で仕上げる鯉のぼりと甲州武者のぼりは、平成6年に県郷土伝統工芸品に認定されました。現在は展弘さんがその技法を受け継いでいます。 展弘さんが染物の道に入り、今年で10年目。「やればやるほど難しさや奥深さを感じます。だからこそ面白く、もっと腕を上げたいと思い、日々精進しています」と瞳を輝かせます。deやまなし輝く4南アルプス市真剣な表情で鯉のぼりのうろこ部分に糊置きをする展弘さん16

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