ふれあい特集号vol.33(デジタルブック版)
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  04 皆藤さんが最後に向かったのは、忍野八海。かつては「富士山根元八湖」と呼ばれた富士山信仰の霊場であり、富士山頂を目指す道者たちは、この水で穢れを祓い、身を清めました。「こうして水面を見ていると、深い深い水の底に、ふっと吸い込まれてしまいそう。それでいて、心が癒数十年の時を経て湧き出る伏流水。その清らかさに、心も洗われます。日本人が芸術と信仰で紡いできた富士山との関わり。この宝物を、ぜひ、未来へとつなげてほしいですね。されるというか、気持ちがスーッと落ち着きます。これが、富士山に降り注いだ雨や雪が何十年もの時を経て、湧き出て来た伏流水なんですね。長い間、命を育んできた尊い水。これも、富士山の恵み。大切に受け継いでいかなければ」と、いつまでも水面を見つめていました。 「私は小さな頃からずっと、千葉や東京から遠くの富士山を見つめ、パワーをもらってきました。けれど、山梨では、町の風景や、毎日の暮らしの中にあるんですね。とてもうらやましい。だって、ふと何気なく見たときに、そこにはいつも富士山がある。今日は、その幸せを少し分けてもらった気分。今度はぜひ、富士登山に挑戦したい」と、元気一杯に宣言した皆藤さん。 「世界中の人に、この素晴らしさをもっともっと知って欲しいですよね。そのためにも、一日も早く世界文化遺産に登録されたという朗報が届きますように。その日が来るのを楽しみに、私も出来る限り応援していきます」と、爽やかな笑顔でエールを送ってくれました。心の拠り所として、畏れられ、崇められた富士山太古の昔、噴火を繰り返す富士山を人々は、神が宿る山と考え、畏敬の念を抱きました。その後、噴火活動が沈静化した平安後期以降は、修験道の道場となり、12世紀前半には、山頂に大日寺も建立されます。新たな富士山信仰の興りは、戦国時代。長谷川角行の教えが弟子へと引き継がれ、江戸中期には「富士講」として関東を中心に大流行。多くの人が富士登山や富士五湖などの霊地巡礼をしました。毎年6月30日に北口本宮冨士浅間神社で行われる開山前夜祭富士講(明治時代)忍野八海 湧池(わくいけ)忍野八海 お釜池はせぎょうかくがわだいじにちねこはっもとけがはら

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