ふれあい特集号vol.31(デジタルブック版)
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 西嶋手漉和紙は、三椏や稲わらなどを原料に、昔ながらの製法で一枚一枚、丁寧に手作業で生産されています。西嶋の和紙に出会って以来、愛用している双雲さんは「紙に個性がありますよね。にじみ具合が良いのと、筆への反発力が強いので、筆をどう動かすのか、和紙とせめぎ合うことで、創作意欲がかき立てられて面白い」と話します。 この日、双雲さんが訪ねたのは、100年以上和紙作りをしている山十製紙。代表取締役の笠井伸二さんとは、NHKの番組で出会って以来の付き合いですが、工房を訪ねるのは今回が初めてです。 紙漉き職人が、流れ出てくる原料液を簾で巧みに一畳ほどの紙にし、次々と積み重ねていきます。 漉いた紙は、15〜20センチの厚さに重ねたまま天日干しにします。この工程があるのは西嶋だけです。「三椏は繊維が短いので、天日で干して結び付きを強くします」と笠井さん。締まった和紙を水に浸け、職人が一枚一枚分離し大きな鉄板の上に手際よく伸ばして乾かします。紙干し職人の技に「これはとんでもなく難しい。僕には絶対無理」と驚嘆する双雲さん。 西嶋の和紙は、多くの工程や職人技無くしては成立しないと再認識し、「こういう和紙作りの現場を知っていて使うのと、知らないで使うのとでは、書の出来栄えが違ってくる」と感動しきりでした。大きなアイロンのような鉄板に1枚ずつ刷毛で伸ばし乾かします。高度な紙干しを軽々とこなす職人技に双雲さんもびっくり「双雲先生は、西嶋手漉和紙の個性を存分に引き出してくれる」と山十製紙の笠井さん。手前は天日干しされ、締まった和紙紙漉き60年のベテラン職人の技を見学。1日に3000~4000枚も漉きます美しい墨色、柔らかなにじみを   生み出す伝統の手漉き和紙 1571年、西島(現・西嶋)生まれの望月清兵衛が武田信玄の任により、現在の静岡県伊豆修善寺で和紙作りの修業を積み、その製法を持ち帰ったことから始まった。戦後全国に先駆けて開発・販売した画仙紙が普及。現在も手漉きの製法を守り続けている。西嶋手漉和紙嶋嶋身延町すみつ また4

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