vol.19(平成21年1月1日発行)
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日本一のワインの里やまなし ~ワイン産地確立に向けて~ 日本一のワインの里やまなし ~ワイン産地確立に向けて~  文明開化の夜明けを迎えた明治初期、ワイン造りに情熱を注いだ人々により、この地でワイン造りがはじまりました。  ワイン産業は長い年月をかけ育まれ、国内ワイン生産量の約1/3を生産する日本一のワイン産地にまで成長しました。 そして、今、ワイナリー、ワイン酒造団体、県などが力を合わせ、ワイン産地山梨の確立にむけ、世界も視野に入れた新たなチャレンジがはじまっています。 県産ワインの高品質化に向けて 良いワインは良質なブドウから 特集2 ワインの味は、原料のブドウでほぼ決まると言われており、世界に通用するワインを造るには、醸造用ブドウの品質の向上が大きな課題です。そこで県では、醸造用ブドウの品質をさらに高めるため、栽培技術の確立、優良系統の選抜、栽培エキスパートの育成などを柱に新たな取り組みを始めています。 果樹試験場栽培部醸造ブドウ栽培科 Kouki Watanabe渡辺晃樹さん  わが国のブドウ栽培は生食用が主流で、これまで栽培技術の研究も生食用品種を中心に行われてきました。  このような中、本県では全国に先駆けて果樹試験場に「醸造ブドウ栽培科」を設け、今年度から醸造用ブドウの栽培技術の確立を目指した本格的な取り組みを始めました。  標高が高く冷涼な環境の北杜市明野町に試験用の畑を整備し、現在は試験に向けて果樹試験場で6種類の試験用苗木を育てています。この春にはこの苗木を試験用の畑に移し、台木の違いによる樹の生育のコントロールや仕立て方法、整枝剪定方法など栽培技術の検討を行います。海外の専門家や、ワイン酒造組合の協力を得るなど、官民一体となり試験研究を進めていきます。  本格的な醸造用ブドウ栽培技術の研究の着手に、栽培農家やワイナリーから大きな期待が寄せられています。 果樹試験場に 「醸造ブドウ栽培科」を新設 本県に適した 醸造用ブドウの選抜 研究員  県では、本県の気象条件や土壌に適した醸造用ブドウの系統選抜を、ワイン酒造組合と連携を図りながら進めています。  昨年3月にフランスから輸入した醸造用ブドウ5品種12系統と、ワイン酒造組合で選定した「甲州」8系統について、県内各地のワイナリーの畑で比較試験を行うための準備を果樹試験場で進めているところです。  比較試験では、栽培特性と併せてワインを醸造して品質も検討するため、県内各地に普及するまでにはまだ時間がかかりますが、その分、大きな成果が期待されています。 08

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