vol.19(平成21年1月1日発行)
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 「ここは四季がものすごくはっきりしていて、一年がきちっと1回転しているんです。四季があることで最も深い感情の下地が生まれるんです。そんな四季のはっきりしているところも、この土地の好きなところですね。それに畑で春の芽吹きや夏のムンムンとした暑さ、どんどん色を変えていく秋の山々などを眺めていると、地球と一緒に生きている感覚をものすごく感じるんです。人間は地球という自然の真っただ中に生まれてきて、夢中で生きている他の生物と同じ空気の中に参加させてもらっているんです。若い頃は観念としてしか分からなかったんですが、今はそれを感じる毎日です」ることから始まっているんです。昔の人は平らなところで踊っていたわけではありません。今はみんな平らじゃなきゃダメって言いますが、平らなところばかりにいると足の裏の感覚が鈍くなり、感じるためではなく、技術を身に付けるための足になってしまいます。土は多くの生き物の死骸が混ざってできていて、そこにはたくさんの植物の種があり、多くの命が育っています。昔の人は『土には命の終わりと始まりがある』ってことを知っていましたよね」。その言葉からは、土への、そして大地への敬意が伝わってきます。地球と一緒に生きている。 ここにいると、 日々そう感じられる  現在もインドネシアで森を守る活動をし、世界各地で踊り、世界を旅し、世界とのつながりを感じている泯さんは、この地も世界に向かってつながっていくところだととらえています。 「僕たちはみんな同じ地球の空気を吸い、みんなつながって生きています。この地も山梨の一部ではあるけれど、地球全部とつながっているし、僕自身、山梨県という意識で考えていません。山々に囲まれた山梨は、世界とつながっているというイメージを持ちにくいところかもしれませんが、世界はつながっているんです」 見渡す限り山がそびえる山梨の地は、確かに外への広がりを感じにくいところです。でもだからこそ素敵なことがあると、泯さんはいいます。 「山梨の空は特別ですよね。日本で最も美しい空と、最もきれいな星空があるところだと思います。それは幸せなことに、山で空が遮られているからです。空とか星は地球のつながりを感じるものです。それは空想世界になるわけで、僕たち人間はいろいろ空想しますから、山梨の空には空想がいっぱい詰まっているんじゃないですかね」 ゆっくりと丁寧に紡ぎ出される泯さんの言葉。そこには大地を踏みしめ、空を抱き、自然とともに生きている人の強さと優しさが感じられました。山で空が遮られているからこそ、 山梨の空は美しい 住居は土地に残された廃屋を再生して使っている。ストーブも車のホイールを利用して作られている。 泯さんの後ろにはいつも猫がついてくる。猫が4匹居て、黒猫の名前はタンゴ。 「このデコボコカボチャは原種に近くて皮がとっても厚いので女の人じゃ切れませんね。でも味は濃くておいしいんです」撮影や公演の合間には必ず戻って桃花村の仲間と農業をしていると笑う泯さん 03ふれあい

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