富士山公式ガイド2023日本語版
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荒ぶる山と美の源泉信仰のめばえ信仰の大衆化水の霊場巡り山頂へ至る道三方分山•パノラマ台居村集落と中道往還123455誕 生遥 拝富士講巡 拝登 拝しょう じ  こジャパン•ショージと世界が讃えた霊峰富士に抱かれる水景色 精進集落のある旧中道往還から峠道に入り、御坂山塊の「三方分山」と「パノラマ台」を目指すことができる。昔の石仏群が残るつづら折りの「女坂峠」を登っていくと、やがて視界が開け、“ジャパン・ショージ”と賞賛された絶景を眼下に一望できる。 かつての巡礼路でもあった旧中道往還。北岸には、かつて宿場町として賑わった「精進集落」がある。しかし、昭和40年代に集落のほとんどは、自然災害対策のため青木ヶ原樹海の中の開拓地に移住。時を止めたかのような往時の面影を今に伝えている。三方分山からの精進湖の眺め構成資産 古代、麓に広がっていた巨大な“うみ”から、後に分かれて誕生した精進湖は、周囲およそ5kmと五湖のうちで一番小さい。そして最もプランクトンが豊富で、そのぶん透明度は低く湖水は緑色をしている。湖に流れこんだ溶岩流の様子を観察できる景観も独特の魅力になっている。 西湖•精進湖•本栖湖が、元は「剗の海(セノウミ)」という一つの大きな湖だったことの裏付けとして、3つの湖は現在も常に水位が連動しているという。 富士五湖が、富士山の噴火活動で誕生した火山性のせき止め湖という、似通った生い立ちでありながら、それぞれ異なる個性に富むことも、富士山という大自然のスケールを物語っている。 最も小さい精進湖が、五湖のなかで最も早くその名を国外に広めた富士山の湖といえるかもしれない。明治時代、イギリス人のハリー・スチュワート・ホイットウォーズは一年がかりで富士山麓を巡り、特に精進湖からの富士山の眺めを“東洋のスイス”と称え、“ジャパン・ショージ”の名で世界に紹介した。 また湖の北西岸の景勝地「他手合浜」からは、「子抱き富士」と親しまれる富士山が望める。手前にある大室山を富士山が抱っこしている。大室山は富士山にたくさんある側火山の一つ。噴火を繰り返してきた富士山を象徴する風景として眺めみても感慨深いものがある。 精進湖の名の由来は、富士山に登る前に湖で沐浴し精進潔斎がされたためという説や、富士山の「背地(せのち)」にあたるため、など諸説がある。精進湖

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