荒ぶる山と美の源泉信仰のめばえ信仰の大衆化水の霊場巡り山頂へ至る道123451誕 生遥 拝富士講巡 拝登 拝■紹介する主な構成資産 西湖/精進湖/本栖湖……………………………………………………………………………………………22. 遥 拝信仰のめばえ■紹介する主な構成資産 河口浅間神社/河口湖/冨士御室浅間神社……………………………………………………………………………………………93. 富士講信仰の大衆化■紹介する主な構成資産 旧外川家住宅/北口本宮浅間神社……………………………………………………………………………………………164. 巡 拝水の霊場巡り■紹介する主な構成資産 忍野八海/山中湖……………………………………………………………………………………………215. 登 拝山頂へ至る道■紹介する主な構成資産 吉田口登山道/船津胎内樹型/吉田胎内樹型/山頂の信仰遺跡群……………………………………………………………………………………………26富士山が世界文化遺産に登録される際に、麓をとりまく富士五湖も、構成資産に含まれました。それは、なぜでしょう。その理由は、富士山誕生時にまでさかのぼります。古代の富士山を旅すれば、火の山として、水の山として、奇跡的に誕生した富士山の壮大な自然のスケールを感じることができるでしょう。今のように、気軽に富士山に近づくことのできなかった古代。人はどのように富士山とつきあい、祈りをささげていたのでしょう。古代の富士山にまつわる聖地を旅すれば、自然崇拝、さらに山岳信仰といった、日本人の奥深くに宿る富士山の姿も見えてきます。今の富士登山人気のルーツともいえる江戸時代の庶民による「富士講」。現代との違いもありました。まず富士山への信仰心に根ざしていたこと。もう一つは、富士講の道者たちは、麓から山頂を目指していたことです。麓に残る聖地を巡れば、富士山を対象に一般の庶民が築きあげた深淵にして豊かな世界観が見えてきます。富士山を観光地として、また日本一高い登山の山として親しんできた現代のわたしたちの中にも、芸術の源泉として、信仰の対象としての富士山は息づいています。山頂へ登らずとも、そんな自分の中の神なる富士山と再会できるのが、麓の水辺をめぐる“生まれ増す旅”です。先人達が、富士山を麓から登ることに意味を見いだしていたように、そのおなじ道を、わたしたちも、最初の一歩からたどってみることにしましょう。その大きな山体の全体に刻まれた豊かな信仰世界や、日本人の心の象徴とされる富士山の、ほんとうの素晴らしさが実感できるでしょう。1. 誕 生荒ぶる山と美の源泉
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