山梨県のあらまし2023
27/40

–水晶の鼓動が導いた信仰と技、そして先進技術へ––国産ブドウで醸造する和文化の結晶–甲府市/甲斐市山梨県茨城県牛久市旧宮崎葡萄酒醸造場施設(宮光園)宮光園での醸造作業風景巨岩や奇石などを有し、希少な造形美を形成する昇仙峡大黒天印甲斐産葡萄酒と甲斐産エビ葡萄酒甲州市内の和風建築のワイナリー 日本遺産とは、国内の各地域に点在する史跡や伝統芸能など、有形や無形の文化財をパッケージ化し、歴史的な魅力や特色を通じて文化・伝統を語るストーリーとして文化庁が認定するものです。山梨県では4つのストーリーが日本遺産に認定されています。 昇仙峡一帯の山地は、水の塊と信じられていた水晶を産出する水源信仰の地であり、地域を流れる荒川上流を訪ねると大小の滝や巨岩、奇石を見ることができます。水がつくった芸術品ともいえる渓谷美は、地域の人々により日本有数の景勝地として磨き上げられました。 また、産出された水晶と匠の技として伝承される加工技術は、日本一のジュエリー産業の基盤になりました。さらにその加工技術は人工水晶製造技術へとつながり、電子機器などに使用されるなど、現代に至る私たちの生活を支えています。甲州市 国産ブドウを原料とし、国内で醸造される日本ワイン。その140年にわたる歴史において、甲州市の勝沼地域では、地元のブドウ農家と共存繁栄を図ることで、広大なブドウ畑と新旧30ものワイナリーが誕生しました。また、茨城県牛久市の牛久シャトーは、大規模な醸造体制を確立しました。 明治の文明開化期、国営では果たせなかったワイン醸造を、それぞれの地域の特性を生かして、民間の力で成し遂げたのです。 日本のワイン文化の広がりに貢献した2つのまちに息づく歴史を知れば、ワインの味わいもより深くなることでしょう。26甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡日本ワイン   140年史

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る